あなたは怖い話は好きですか?
老若男女、一度は聞いたり話たりなど、怪談に触れる機会はあるのではないでしょうか。
そんな怪談の中でも「ホテル・旅館」は舞台としてはメジャーと言えるでしょう。
今回紹介するホテル・旅館の怪談は「カリカリ」です。
夜中に読むのはおすすめしません。何故なら、眠れなくなっても責任は取れませんから…
それでは、ごゆっくりお楽しみください。
他の怪談も気になるという方は、下記の記事を参照ください。
【ホテル・旅館の怪談】「カリカリ」
私はウェブライターをしているものです。今回の特集は、「夏の定番、怪奇現象を徹底究明‼︎」です。
あまり怪談などのオカルトは好きではないのですが、会社の方針には逆らえません。
いろいろなところに取材に行きましたが、正直、雰囲気はありましたが怪奇現象のようなものはありませんでした。
ですが、多少の脚色は許されています。というか強制されています。方針に。
今回も脚色を強いられるのかと不安を感じながら向かった先は、ある県の地方にあるホテルでした。
そのホテル、ネットでもちょっとした話題になっています。
なんの話題なのかって?何でも、「安眠は約束されない呪われた部屋」というものがあるのだとか。
真相は不明ですが、それを究明するのが私の仕事のようです。足が重いですが、早速向かってみることにしました。
車で2時間ほどでしょうか。最初は国道を走っていましたが、徐々に人気のない道へとナビは指示を出します。
「目的地に到着しました」
ナビが連れて行ってくれたホテルは、3階建てのお世辞にも立派とは言えないようなホテルでした。
所々壁にヒビが入っていたり、駐車場も砂利が散らばっていおり綺麗な印象は受けませんでした。
ネットで話題になっているとは言え、交通の便からか利用客も少ないことは止まっている車を見ると一目瞭然でした。
ホテル内に入ると「こぢんまり」という言葉が似合うような間取りであり、真ん中にカウンターと従業員が一人立っているのみでした。
受付を済ませても、荷物を持ってくれるホテルマンはいません。場所の案内などは全てカウンターで済ませられました。
指定された客室、つまり「安眠は約束されない呪われた部屋」は3階の奥から2番目の位置にありました。
話題という割には、予約もすんなり取れており、ホテル側も認知しているようで「あ〜あのお部屋ですね」と慣れた様子で部屋を確保してくれました。
早速部屋に入ると、特に何も変わった様子はなく、ある程度の家具は揃っているような普通の部屋となっていました。
怪奇現象と言えば夜でしょう。
特にすることもないため、記事の編集を行いながら夜を待ちます。
夕方ごろでしょうか。
「カリカリ…」
何かを引っ掻くような小さい物音が聞こえた気がしました。
あたりを見渡しますが、何かが起こった様子はありません。
あまりにも小さく、すぐに鳴り終えたので勘違いだったようです。
宿泊プランに食事はついていなかったため、外で食事を済ませて部屋へと戻ってきました。すると…
「カリカリ…」
また同じような音が聞こえてきました。今回は勘違いとは思えない程度までしっかりと聞こえました。
どこから聞こえているんだろう?そう思い見渡しますが、発見する事はできませんでした。すぐに鳴り終えましたから。
これが怪奇現象か?嫌だな…
そう思いながらも、記事にできるかもしれないという興味心と恐怖心がせめぎ合っています。
備え付けの浴室でシャワーを浴びている時です。
「カリカリカリカリカリカリカリカリ…」
今度ははっきりと、そして長く物音が鳴り響きました。
私は急いで上がり音源を探そうとしますが、浴室から出た時にはすでに鳴り止んでいました。
落胆が隠しきれずに肩を落としながら体を拭いていると…
「カリカリカリカリカリカリカリカリ…」
またあの音が聞こえてきたのです。
どうせまた消えるんだろうとたかを括りながら服を着ていましたが、どうやらそういう訳ではなく音は継続していました。
どうやら壁の向こうから聞こえるようです。
この壁の向こうは、この部屋の奥、つまり角部屋でした。
恐怖心より興味心がまさった瞬間でした。
そっと近づき壁に耳を近づけます。
近くで聞くと、音がより鮮明に聞こえてきます。
そして、その音の正体を直感で気づいてしまいました。
「カリカリカリカリカリカリカリカリ…」
「爪で壁を引っ掻いている音だろう」と。
何も根拠はありません。ですが、そう感じてしまったんです。
「この壁の向こうで、誰かが壁を引っ掻いている」
そう思うと急に恐怖心が私の心に爪を立てます。
怖くなってきて壁から逃げるように離れました。
早く鳴り止んでくれ…
「カリカリカリカリカリカリカリカリ…」
しかし、鳴って欲しい時には鳴らないこの音が、鳴って欲しくない時は必要以上に音を立ててしまいます。
もう辞めてくれ…
「カリカリカリカリカリカリカリカリ…」
この音を聴いていると、何故か全身がむず痒くなってしまいます。黒板を爪で引っ掻くような不快な音を聞いている時のように…
「カリカリカリカリカリカリカリカリ…」
何故か体中から少量の血が出ているのに気づきました。ですが、むず痒さも少しずつマシになってきたのであまり気になりませんでした。
「カリカリカリカリカリカリカリカリ…」
むず痒さがなくなると、今度は、壁の向こうで壁を引っ掻いている人のことが気になってきました。なんでそんなに引っ掻いているんだろう…
「カリカリカリカリカリカリカリカリ…」
あれ?何か音が大きくなった…?近づいた…?
「カリカリカリカリカリカリカリカリ…」
何故か自然と壁が少しずつ剥がれていきました。
「カリカリカリカリカリカリカリカリ…」
剥がれた壁から何か見慣れないものが見えています。
「カリカリカリカリカリカリカリカリ…」
…お札?
「カリカリカリカリカリカリカリカリ…」
「カリカリカリカリカリカリカリカリ…」
「カリカリカリカリカリカリカリカリ…」
「かりゅ…ぺりゅ…ぶちゅ…ズ…ズシャズシャズシャ…」
爪が剥がれました。
まとめ
「呪われた部屋」は検索すれば出てくることもあるが、自己責任で
実際にお札が貼ってある部屋があるのだとか
爪が剥がれる音、剥がれた後に壁を引っ掻く音は表現が難しい
以上で、【ホテル・旅館の怪談】「カリカリ」を紹介※眠れなくても責任取れませんを終わります。
他にも、【ホテル・旅館の怪談】「厳選5選‼︎」を紹介※眠れなくても責任取れませんという記事もあるので、興味がある方は是非ご一読ください。
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