あなたは怖い話は好きですか?
老若男女、一度は聞いたり話たりなど、怪談に触れる機会はあるのではないでしょうか。
そんな怪談の中でも「肝試し」は舞台としてはメジャーと言えるでしょう。
今回紹介する肝試しの怪談は「遊ぼうよ」です。
夜中に読むのはおすすめしません。何故なら、眠れなくなっても責任は取れませんから…
それでは、ごゆっくりお楽しみください。
他の怪談も気になるという方は、下記の記事を参照ください。
【肝試しの怪談】「遊ぼうよ」
「夏の暑い時期に、背筋の凍るような思いをして涼を取る」それは建前として「ただ単に夜に出歩いてニヒルな気持ちで楽しみたいだけ」で開催される“肝試し”に参加したことがある人も多いでしょう。
今回お話しするのは、そんな建前や本心で参加するんじゃなかったと後悔してしまった僕の懺悔になります。
肝試しというのは、大概クラスの中心にいる人たちで企画されます。
僕が呼ばれたのは、きっと数合わせだと思います。
だけど、正直この時はクラスの中心になれたのかもしれないと嬉しくなったのを覚えています。
今となっては後悔しかないんですけどね。
肝試しが開催される場所は、近くの墓地ということになりました。
日時ですか?小学生が決めることですよ?思いついたらすぐ、つまり、今日の夜です。
僕たちは、下校後、時間を決めて適当に親を騙し、なんの謂れもない墓地に集合しました。
その墓地は、特に幽霊が出るとかの噂もなく、雰囲気だけで選抜されたようです。
ですが、墓地というのは昼夜問わず気味が悪いですよね。だって、規則的に配置されてはいますが、大きさはバラバラで、その全てのお墓の下に亡くなった人の骨が埋まってるんでしょう?
怖くないはずがないじゃないですか。
みんなが集合時間までに集まることができました。人数は…8人ですね。時間は20時でした。
陽もすっかり落ちており、田舎であるためか墓地を照らす光は夜空から差す光だけでした。
各々は懐中電灯を持参し、今か今かと心を弾ませながら開催を待っていました。
すると、1人の男子が話出します。内容はこうです。
- 1人のペアを決める
- 歩いた先にある大きい墓に花を供えて戻ってくること
- ペアごとに違う花を用意している
- 終わったら全員で花を確認しに行く
まずはペア決めから始めました。
説明をしてくれた男の子が用意した紐を1人1人引いていきます。
紐の先に同じ番号が書いている人同士がペアとなるわけですね。
僕とペアになったのは、おかっぱ頭の大人しい女の子、A子ちゃんでした。
「よろしくね…頑張ろうね…」
なんて声をかけたのかな。あまりコミュニケーションは苦手なので、普段話したことがない人とは話しにくかったです。
A子ちゃんも普段から積極的に話の輪に入るタイプでもないみたいで、恥ずかしそうに顔を背けていました。
そして、ペアが決まると、一輪ずつ花を渡されました。
A子ちゃんが受け取ります。どうやら僕たちが供える花は、「たんぽぽ」のようです。
他のペアは、ひまわりであったり、見たこともないような花を渡されているペアもありました。
花を渡された後は、順番決めですが、これはもう決まっていました。
紐に書かれている番号ですね。僕たちは4番でした。
8人いて、2人1組なので4番、つまり4番目ということでした。
最後ですね。
いよいよ肝試しが開始されます。
1組が先陣を切ります。
暗い墓地に2人の足音が響きます。そして、消えたかと思えば掠れるような悲鳴が聞こえてきたり…
先に行った2人に引き摺られるように、期待より不安が大きくなっているのを感じました。
A子ちゃんも心なしか少し震えているように思います。
しばらくすると先陣の2人が帰ってきました。無事に花を供えることができたようです。
「怖かったね…大したことなかったよ…」
なんて会話をしている先陣の2人からは不安は消え去り、表情も綻んでいます。
次、そして次とペアが歩き出し、最後の僕たちの順番が回ってきました。
A子ちゃんの口数はますます無くなっており、覗き込めませんが、泣きそうな表情をしていたのは間違い無いでしょう。
そして、僕たちは歩き出しました。懐中電灯を片手に。
歩き出してみんなの姿が確認できなくなったくらいでしょうか。A子ちゃんが僕の服の袖を掴みます。
その掴んだ手から伝わってくるのは、小刻みに感じる振動でした。
怖くて震えが止まらないのでしょう。
時々…
「ひっ…んっ…」
と泣いているような声が聞こえてきます。
何か声をかけた方がいいのか…
でも、逆に声をかけると気にするか…
なんて情けない自問自答を繰り返しながらも、足は着々と進んでいきます。
自問自答に忙しかったのか、ふとした時に気づきました。
A子ちゃんの震えが止まっていたんです。
変わらず袖は掴んでいるものの、さっきまで感じていた震えは嘘のように止まっていました。
変わりに、奇妙な声が聞こえていました。
「………ウ…」
A子ちゃんが何かを言っている声のようでした。
「ア……ウ…」
小さくて何を言ってるのか聞こえませんでしたが、それはすぐに知ることになりました。
もう少しで供えるお墓が見えた時です。
「ああああぁぁあぁあぁああぁあぁあああぁあああ」
A子ちゃんが叫び出したのです。
いや、“A子ちゃんだったのか”はわかりません。
何故なら、叫んでいるA子ちゃんは、今までに見たことがないくらい大きな目を開き、口を開けて叫んでいました。
あの内向きの大人しく口数の少ない…それは僕の知るA子ちゃんじゃなかったのです。
直感でわかりました。何かが取り憑いているって。
僕は怖くなり逃げ出しました。袖を掴んでいたA子ちゃんの手が離れたと同時に、恐怖心しかなかった僕の心に罪悪感も芽生えます。
ですが、体は素直に進んだ道を戻り出しました。
「ごめん、A子ちゃん」
心の中でどれだけ叫んだのかわかりません。
僕は、みんなの元に戻り事情を説明してA子ちゃんを一緒に迎えに行ってもらえないかと頼みました。
みんなの表情も、僕が話すにつれ険しくなります。緊張感が伝わったのでしょう。
最初に説明してくれた男の子が舵を切り、これからA子ちゃんを探しに行こうとした時、墓から1人の人影が見えました。
A子ちゃんでした。
泣きながらこちらに戻ってきます。
みんなでA子ちゃんに近寄りました。
「ごめん、A子ちゃん、置いていって…」
泣きながら謝る僕をA子ちゃんは笑って許してくれました。
それから、僕たちは今回の肝試しのおさらいへと向かいました。
供物をするお墓に。もちろんみんなで。
「怖かったよな…A子ちゃんがいなくなったのは焦ったよね…」
なんて話しながら進んでいきます。僕たちは後ろの方で歩いていたのですが、みんなでいてもやっぱり怖いみたいで、A子ちゃんは僕の服の袖のを掴んでいます。
例のお墓に到着しました。
そして、供えている花を確認します。
男の子が言います。
「お、全員ちゃんと供えてるな」
その言葉に違和感を覚えました。
「ん?全員?」
遠目ですが、確認すると…ちゃんと供えてありました…たんぽぽが…
僕は必死に考えます。
たんぽぽはA子ちゃんが持っていたはず…
A子ちゃんがあの状況からお墓にたんぽぽを供えたのか…
僕はA子ちゃんを振り返ります。
するとA子ちゃんは大きく目を開いて…
「アソボウヨ」
A子ちゃんは僕の袖を掴んだままでした。
まとめ
A子ちゃんは何かに取り憑かれていた
全員の花が供えられていたということは、A子ちゃんに取り憑いた幽霊が供えたのか
そしてA子ちゃんにはまだその幽霊が取り憑いている…
以上で、【肝試しの怪談】「遊ぼうよ」を紹介※眠れなくても責任取れませんを終わります。
他にも、【肝試しの怪談】「厳選4選‼︎」を紹介※眠れなくても責任取れませんという記事もありますので、興味がある方はぜひご一読ください。
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