【SNSの怖い話】「裏アカ」を紹介※眠れなくても責任取れません

ハートと鍵

 あなたは怖い話は好きですか?

 老若男女、一度は見たり聞いたりなど、怪談に触れる機会はあるのではないでしょうか。

 そんな中でも「SNSの怖い話」は舞台としてはメジャーと言えるでしょう。

 今回紹介するSNSの怖い話は「裏アカ」です。

 夜中に読むのはおすすめしません。何故なら、眠れなくなっても責任は取れませんから•••

 それでは、ごゆっくりお楽しみください。

 他の怪談も気になるという方は、下記の記事を参照ください。

目次

【SNSの怖い話】「裏アカ」

塞ぎ込む女性

 私は晴れて、この春より大学生になる。

 高校三年間での集大成を、にっくき鉛筆と問題用紙に、これでもかとぶつけた想いが結果を結んだ。

 友達と遊ぶことを我慢した。

 バイトとかやりたいこともあった。

 親の小言も聞き流した。

 その甲斐もあったというもの。我慢が、努力が報われたんだ。大学では精一杯楽しもう。

 仲の良い友達ができるかな。

 サークルはどこに入ろうかな。

 やりたいことや目指したいことが見つかるといいな。

 きっと大学生活は煌びやかで華やかで、そして艶やかなものになるはずだ。

 そう思っていた。

 あの時までは。


 最初に話しかけてくれたのは彼女だった。

 教室の場所がわからず困り果てていた私に見かねて笑顔で声をかけてくれた彼女は、一言で言えば「自己中心的」だ。

 単位のことをまるで考えていない杜撰さ。

 待ち合わせ時間には遅れてくることが必定のルーズさ。

 そのくせメッセージの返信が遅いと駄々をこねる傲慢さ。

 まるで世界の全てが自分に合わせてくれるのが当然かのような振る舞いが目立つ。

 そんな彼女だが、SNSのチェックや更新は毎日欠かさないのが不思議だった。

 彼女のストーリーは途切れた試しがなく、一日に何回も更新されるのが当たり前。

 そこまでマメに更新できるならもっと周りに気を配れば良いのに•••

 と何度思ったことか。

 だけど、そこが彼女の良いところ、と誤認されているからか、友達は結構多い。かくいう私もその一人だったりする。

 裏表が無い、と良い表現に変換すると、その通りだと思える。

 配慮不足だ、と悪い表現に変換すると、ごもっともだと大きく頷く。

 良いところより、悪いところの方が悪目立ちする彼女だけど、憎めないところもある。

 それは、不安や不満、愚痴や相談をパーソナルスペースを無視して話してくれるところだ。

 しょっちゅう電話で呼び出され、彼女の自己中心的な思考に寄り添っていた。

 彼女は感情の起伏も激しく、怒ったと思えば泣いていたり、慰めようと手を伸ばした時にはケロッとしていたりする。

 だから断った後彼女がどう出るかわからないので、毎回付き合うことにしていた。

 だけど、友達が少ない私にとっては、それが頼られていると思えて心地が良かった。

 まあ、内容は自分中心に世界が回らないことに対しての物言いが殆どなのだけど。

 大学が終わり、家に帰ると彼女からの電話で呼び出されて近くの公園で話を聞く•••ルーティーンが完成していた。

 学業や、プライベートでの寛ぎの時間より、彼女と関わっている時間の方が一日の占める割合が多い。

 私は彼女について学ぶために高校三年間を捧げたのかと思うほどに。

 今日もスマフォが鳴り、彼女から呼び出されるんだろうな。

 どんな奇想天外な思考や思想を聞くことができるのだろうと楽しみすらある。

 ぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶ

 スマフォのバイブが響く。

 私は確認もせず電話に出てスマフォを耳に当てる。

 「今日は何があったの?」

 やや間延びした返事になってしまったが、自分で頭がいっぱいな彼女は気づかないだろう。

 第一声はどうくるかとやや期待で胸が膨らむ。

 「◯◯さんの電話でしょうか•••」

 想像していた傲慢な態度ではなく、相手の状況を慮って掬い上げるような優しい物腰がそこにあった。

 私は困惑し返事をする。

 「お母さんが•••」

 落ち着いてください、と前を置きをしつつ話し始めた電話口の相手は、病院の職員さんだった。

 お母さんが仕事中に脳出血で倒れたらしい。

 発見が遅れて危ない状態なのですぐに病院に来てください、という内容だった。

 血の気が身体から一気に引いていく。

 海の満ち欠けのように、引いた血が戻ってくることはなく、手足が冷えて震えているのがわかる。

 突然のことで思考が乱れる。

 私は電話を切り踵を返す。

 病院に向けて歩き出す。

 その歩行は徐々に速度を上げていき、疾走する体制に入ろうとしている。

 その時•••

 ぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶ

 スマフォのバイブが響く。

 訃報が頭をよぎる。

 そうであってほしくない•••

 出たくない。聞きたくない。知りたくない。

 だけどそういうわけにもいかない•••

 私はスマフォの画面を見る。

 着信画面には彼女の名前が写し出されていた。

 私は迷った。

 出るのをやめようと思った。

 一度出ると長くなるのは目に見えている。

 かといって無視すると後が怖い。

 だけど、今の私の状況を伝えると理解してくれるかもしれない。

 それに、自分自身も落ち着けたい。

 友達の彼女ならわかってくれるはず。

 そう思い電話に出ることにした。

 泣きじゃくりながら「話聞いてよ」と叫ぶ彼女の第一声に私は戸惑った。

 少し前なら期待に膨らんだ胸を撫で下ろし、そうかそうかと聞く余裕もあったのだけど•••

 ただ、泣きながら電話してくることは日常茶飯事とは言え、泣いている彼女を無視するわけにもいかなかった。

 足は止めることなく進めつつ、手短に終わらすべく早々に本題を聞き出す。

 どうやら彼氏が浮気をしてるかもしれないという趣旨の内容らしい。

 泣いているのか、怒っているのか電話口では判別付き辛い口調にどう対応すればと悩むが、彼女が緊迫している状況ではないということに内心少し安心する。

 いや、彼女にしたら緊急事態なのだろうけど。

 いつもの公園で話そうと誘ってくる彼女に出先であることを伝える。

 会えないとなると電話口での応対が始まった。

 途切れることなく話す彼女。

 耳はスマフォに向けているが、足は着実に前へと進んでいる。

 彼女が浮気の証拠をどう掴むかと悩んでいる間に、病院の前まで着いてしまった。

 どうにか彼女の話を切り上げ、こちらの状況を伝えたい•••

 マシンガンのように話す、脈絡も文脈も自己中な会話に隙間はなく、私の話を差し込むことができなかった。

 早く切り上げないとお母さんが•••

 意を決して彼女の話を遮る形で話し出す。

 いつもは無い反応に彼女も驚いた様子だった。

 「お母さんが倒れて•••」

 病院から電話があり、現在病院の前に着いているという状況を伝えるのにそう時間は要らなかった。話している間、彼女が黙って聞いていることに対してやや薄ら怖さを感じた。

 話し終えると彼女はこう切り出した。

 「嘘なんでしょ」

 耳を疑った。

 彼女は続ける。

 「そんなわけないじゃない」

 「こんなタイミングで」

 「騙されると思った?」

 「私が大変な時にデタラメ言って」

 「私の話は聞きたくないって言うの?」

 「私より優先したいことがあるのね」

 「信じらんない」

 とてもじゃないけど、今の精神状態じゃ受け止めきれない程の言葉を投げかけられた。

 自己中もここまで極まるものか。

 どうにかして納得してもらえるよう説明しようと試みるけど、彼女から放たれる弾丸はとどまることを知らない。

 落ちている薬莢は既に数メートルを超えるほど積み上げられているかもしれない。

 それに、あんな言葉を投げかける彼女だ。説明したとしても理解しようとしないと思う。

 彼女が白と言ったら白なんだ。黒の入る余地は無い。

 彼女が天道説を推せば、地球は宇宙の中心たり得るんだ。惑星が地球を中心に周り、自転や公転なんてものは無かったことにされる。

 そんな彼女に地動説を説く度量や知量、器量は持ち合わせてはいなかった。

 何分浪費したのか。

 お母さんが気がかりでしょうがなかった。

 私は一心に彼女の罵詈雑言を跳ね除けた。

 彼女の話の最中に通話を切る。

 この後どうなろうか知ったことじゃない。

 お母さんの方が大事なんだから。

 通話を切ったと同時に走り出そうとするが、画面に通知が残っているのに気づいた。

 病院からの着信履歴だ。

 何件も残っていた。

 彼女との電話の間に何件も。

 私は駆け出した。

 後悔で涙が滲む。

 事前に聞いていた病室まで向かう。

 廊下は嫌に静まり返っていた。

 私は病室の扉を開いた。

 横になったお母さんの姿があった。

 もう動かないお母さんの姿が。

 先生に聞くと、数分前に穏やかに息を引き取ったらしい。

 彼女と話している間に。

 彼女に嘘つき呼ばわりされている間に。

 彼女に罵詈雑言を浴びせられている間に。

 お母さんは動かなくなった。

 家族は私しかいなかった。

 看取る人は誰もおらず、お母さんはどれだけ寂しい思いをしただろう。

 わかっている。わかっているんだ。

 彼女との電話がすぐに終わればお母さんに会えたかもしれない、そう思っている。

 だけど、彼女からしたら、自分の状況も泣く程辛いものだったんだ。

 悪気は無いはずだ。

 だけど•••

 悲しみと怒りが入り混じる。

 悔恨と悲憤が交差する。

 顔を合わせた時、普段通り接することができるのかと不安でならない。

 私は正面から悲しんであげられない自分を恥じていた。

 動かないお母さんを尻目に見ながら。


 数日後、私はお母さんの遺影に向かい合う。

 落ち着いたタイミングで大学へと通った。

 どんな面持ちで彼女と会えばいいのかと不安でいっぱいだったが、それは杞憂だった。

 「どの面下げてきたの?」

 へらへらと笑いながら、彼女が声をかけてくる。

 まるで最初に話しかけてくれた時みたいに。

 だが、印象がまるで違う。

 優しさを感じることができたあたたかい笑顔から、憎たらしく他人を慮ることを知らないゲスい笑顔へと変わっていた。

 彼女は続ける。

 「あの後連絡も取らないで」

 「お母さん?まだそんなこと言ってんの?」

 「こっちの気も知らないでいい気なものね」

 「もう話しかけないでよね。嘘つきとは関わりたく無いから」

 彼女はひたすら真っ直ぐなんだ。

 自分に対して延々と。

 自分の考えに疑問が無い。

 自分の思いに疑心が無い。

 自分の信念に疑念が無い。

 それを私も見習うことにした。

 私はお母さんの遺影に向き合う。

 「彼女も大事な人を失くせばいいのにね」


 更に数日後。

 大学の食堂内で彼女の怒声が響き渡った。

 「なんでこんなことするの⁉︎」

 大変ご立腹な様子だ。

 話の内容は、自分が浮気していたことが彼氏にバレたらしい。

 それを彼女と対面している友達が彼氏にバラしたと思っているようだ。

 お相手は必死に否定している。

 「そんなわけないじゃない!!あなたにしか話してないんだから!!」

 気になっている人がいると言う話は友達にしていたそうだ。

 だが、自分が浮気しといて、その進展も伝えていないのにバレたのが友達のせいだと決めつけているあたり、どこまでいっても彼女なのだと思った。

 彼女の憤怒っぷりを見ているとせいせいした気分になりはするけど、やや聞き苦しくなってきたので私は食堂を出ることにする。


 更に数日後。

 大学の食堂内で彼女の怒声が響き渡った。

 「私じゃない!!」

 今度は彼氏に向かって吠えている。

 話の内容は、彼氏から浮気を追求されているというものだった。

 彼氏のSNSに見知らぬアカウントから情報が密告されているらしい。

 数日前の同食堂内での怒声もこれに起因するそうだ。

 前回は文章での密告だったが、今回は写真付きでの内容であり信憑性は高そうだ。

 どうも、彼女が気になる殿方とホテルへ入っていく写真らしい。

 彼氏が言うには、服装や髪型、顔、どれも彼女と一致しているらしいが•••

 「私じゃない!!」

 らしい。

 流石に写真付きでは逃れられないだろう。

 彼女中心に回っているのは、あくまで彼女だけなんだから。

 その場で破綻話まで至ってしまう。

 以降の彼女は肩を落とし落胆しているのが見てとれた。

 視線を落とし食堂を出ようとする。

 食堂の出入り口付近でご飯を食べていた私と目が合う。

 気力の抜けた表情で歩いていた彼女だが、何かを感じ取ったのか一瞬目に活気が戻った。

 いや、殺気が含まれていた。

 私は臨戦態勢を取る。

 しかし、それも取り越し苦労だった。

 彼女は再度目を伏せ食堂を立ち去る。

 きっと彼氏がまだいる食堂に長居はしたくなかったんだろう。

 その日の夜。

 ぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶ

 スマフォのバイブが響く。

 画面を見る。

 彼女からだ。

 電話に出る。

 「話があるんだけど」

 彼女からの呼び出しだった。いつもの公園で話そうという内容だ。

 私は足早に公園に向かう。

 数分後に彼女が現れた。

 彼女からの第一声は期待通りのものだった。

 「あんたでしょ!?」

 要約すると、私が裏アカを使い、彼女の彼氏に情報を流したと思っているらしい。

 私はもちろん反論する。

 当然聞き入れないだろう。彼女が太陽は西から登ると言えば、太陽はそれに従うのだから。

 私の予想は当たらなかった。

 理屈立てて話す私の話に、彼女は俯いて相槌を打つ。

 気持ち悪いくらいに素直になっていた。

 「私•••どうしたらいい?」

 相当に参っているらしい。

 話を聞いてくれる友達も離れてしまったのだとか。

 それはそうだ、自分の話しかしない、相手の話は受け入れない、そんな友達は友達たり得ないのだから。

 私は近くのベンチに彼女を誘導し話を聞く。

 そうかそうかと慰めながら彼女の方に手を触れ、泣いている彼女を宥める。

 「ありがとう。ごめんね。ひどいこと言って」

 と幻聴が聞こえたりもした。

 彼女は一通り泣き終えると「お腹空いたね」と言い私をご飯に誘う。

 「近くにファミレスないかな」

 とスマフォで検索する彼女を横目に私は大学の課題を思い出していた。

 「ほら、一緒に探してよ」

 と促してくる彼女に伝える。

 「急いで出てきたからスマフォ忘れちゃった。それに、あまり出歩かないの知ってるでしょ」

 そうだったね、と言いながら近くのファミレスへと彼女は歩き出す。

 一緒にご飯を食べ解散することになった。

 この日食べたラザニアの香ばしい香りを、口の中に広がる鉄のような苦い味わいを、私は一生忘れることはないだろう。

 次の日。

 彼女は食堂で泣いていた。

 周りを彼女の友達が囲んでいる。

 「自己中も大概にしろ!!」

 彼女からの怒声ではなかった。

 周りの友達が叫んでいる。

 次々と思いの丈を彼女にぶつけていた。

 友達達のスマフォに匿名の裏アカから写真が送られてきたそうだ。

 その写真は、昨日彼女と私が公園のベンチで話している風景だった。

 それを見た友達達の心情はこうだ。

 裏表のない彼女だが、その分、自分を信じて曲げない。

 疑われたら疑われたままだった。

 先日の食堂内でのお相手の件も然り、私に対しての対応も然り。

 自分勝手に評価して態度を変える彼女にうんざりしたとのことだった。

 それが、彼氏の浮気を責めていたくせに自分は意気揚々と浮気を楽しみ、挙げ句の果てにはバレた際に友達を疑う。

 更には突き放したはずの私と都合良く仲直りしようとしている密告が合わさり爆発したらしい。

 それはそうだ。

 その意見に何も間違いはない。

 きっと彼女に話しても理解しないだろうけども。

 彼女の泣いている声がしんしんと食堂に響く。

 誰も居なくなった食堂には彼女と私だけが残っていた。

 彼女は私に歩み寄る。

 「何がいけなかったのかな•••」

 彼女は私に問いかける。

 その表情は、以前の傲慢な彼女とは思えないほど崩れ歪んでいた。

 何が何だかわからないのだろう。

 何故周りが自分を責めるのか理解していないようだ。

 彼女からは生気が感じられない。

 今にも消え入りそうに感じる。

 きっと人生のどん底にいる気分なんだろうな。

 ここまで辛く悲しい思いをしたこともなかっただろうな。

 リセットボタンがあれば迷わず押しそうな顔をしている。

 私は彼女の問いかけに答える。

 「全部じゃない?」

まとめ

涙を流す女性
point

お母さんが入っていた保険金を受け取ることができた
興信所を使って情報を集めて裏アカを使い復習を実行した
公園へは一足先に着き、ベンチのアングルが撮れるようにスマフォを設置した

 以上で【SNSの怖い話】「裏アカ」を紹介※眠れなくても責任取れませんを終わります。

 他にも、【SNSの怖い話】「厳選5選!!」を紹介※眠れなくても責任取れませんという記事もあるので、興味がある方は是非ご一読ください。

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