あなたは怖い話は好きですか?
老若男女、一度は見たり聞いたりなど、怖い話に触れる機会はあるのではないでしょうか。
そんな中でも「夢の怖い話」は舞台としてはメジャーと言えるでしょう。
今回紹介する夢の怖い話は「知らない街」です。
夜中に読むのはおすすめしません。
何故なら、眠れなくなっても責任は取れませんから•••
それでは、ごゆっくりお楽しみください。
他の怖い話も気なるという方は、下記の記事を参照ください。
【怖い話】夢の怖い話「知らない街」

何回も同じ夢を見る。
知らない街を散策する夢だ。
行ったこともない、見たこともない、知りもしない街。
ゆっくり歩いていたり、走っていたり、飛んでいる時もある。
時間は決まって夜だ。
街頭に照らされた街並みがノスタルジックに見えて好感が持てる。
夢と聞くと、曖昧なものを想像してしまうけど、街並みはいつも変わらず、人っ子一人見当たらない。
ここを曲がれば•••この道とあの道は繋がっていて•••
知らない街なのに知っている。
行ったことはないのに行っている。
だけど、同じ場所で立ち止まる。
そこから先へは行ったことがない。
何故なら、いつもそこで目を覚ますから。
まるで、行ってはいけないと言われているかのように。
誰かに話したことが何度かある。
その度に言われてきた。
テレビで見たことがあるのではないか。
雑誌とかで印象に残ったのではないか。
見た風景を無意識に繋ぎ合わせたのではないか。
そう言われたことに対して、明確に「違う」と返すことができなかった。
どこまでいっても夢での出来事だったから。
それでもやっぱり、どうしても記憶を引っ張り出したり、繋ぎ合わせたものだなんて思うことができなかった。
それだけのリアリティがあの夢にはあった。
そして、そのリアリティが、今目の前に広がっている。
一人で旅行を楽しんでいる時だった。
選んだ旅行先は、観光地としてはマイナーだったが、シーズンということもあり中心部では宿泊の予約が取れなかった。
電車で二駅離れた場所でホテルを取ったが•••あまり下調べもせずに突貫で出かけたため、案の定迷子になってしまった。
遅めに出たので、ホテルのチェックインは夕方を予定していたが、それも大幅に過ぎてしまう。
だけど焦りはなかった。
たまにできた連休に、ふと思い立って出かけただけだ。
特に行きたいところがあるわけもなく、気のみ気のままだった。
予約したホテルには悪いが、急いで現着する気にもなれず、このまま散策しつつのんびり向かうことにした。
足の向くまま歩き続きた。そんなに時間は経っていなかったと思う。
どこか•••見慣れた風景に心が癒された。
胸の内に少し暖かく、爽やかな風が吹き抜けているような感覚がした。
絶対に行ったことがない街だ。
だけど、どこか懐かしい。そう思ってしまう自分がいた。
それが、いつも夢で見る街だと気づいたのは、足を踏み入れてしばらくしてからだった。
大通りを抜けて小道に入る。そこから続く住宅街が目に入った時だ。
そうだ。いつもこの道を通ってここに来る•••
この家は見覚えがある•••その隣の家も•••表札までは覚えてはいないが•••確実に見たことがある•••
知っている•••
胸が高鳴っているのがわかる。
気分が高揚し、足早に歩き始める。
時間は夢で見ているのと同じ、夜だった。
そこまで夜更けではなかったが、何故か人っこ一人見当たらない。
街頭と、住宅一つ一つに備え付けられている暖色系の明かりが、どこかむず痒くも心を暖かく照らしてくれている気がした。
次々と角を曲がり、流れていく住宅を見送っていく。
足は自然とある場所へと向かっていた。
住宅地を抜けて小道に入る。
まるで境界でもあるかのように、住宅地を抜けた途端に道路の舗装は途絶え、砂利道へと変わった。
左側には森が広がり、右側には田園•••だったであろうものが広がる。
振り返ると、外界とは遮断されているのではないかと見まごう程の落差を感じた。
そうか•••夢では振り返ったことはなかったな。
砂利を踏む感触、鼻を抜ける土と草の匂い•••目の前に見える鳥居•••
全て見たままだった。
確か夢では•••
鳥居の前に立つ。
いつもここで目を覚ます。
この先には何があるかは見たことがなかった。
夢でのことだ。また同じ夢を見た時に先を見れるかもしれない。
気になっている、といってもその程度だった。
だけど、それが、夢で見た景色が、現実に広がっているとなれば、自ずと好奇心は高まっていく。
•••あの先には何があるんだろう。
•••なんでいつも同じ場所で立ち止まるんだろう。
•••なんで目を覚ますんだろう。
その疑問は一瞬で解決することになった。
好奇心は後悔へと変わった。
鳥居の奥を見た時だ。
夢では暗くなっててよく見えなかったのだけど、今では月明かりが差して見やすくなっていた。
石碑が置いてあった。
道の真ん中に、無造作に置かれている。
鳥居があるといっても、参拝者がいるような空気感はなく、歩きづらそうな砂利道が続くだけだった。
そこに、確実に歩行の妨げになるような位置に、石碑が置かれていた。
その石碑を見た瞬間に悟る。
境界を作るように遮断された住宅街。
雑草が生い茂り放置されたような田園。
参拝者のいない、異様な参道•••
その奥にある石碑•••
何を祀ってあるかはわからない。
どういう意図があってあの位置に石碑が置かれているのかもわからない。
一つだけわかることは、ここから先へは足を踏み入れてはいけないということだけだった。
それだけの何か言い表せない、黒くて重いものをあの石碑から感じた。
踵を返した。
早くこの場所から離れたかった。
行きはあまり気にしなかった森も、風に揺れる雑草も、今では一つ一つが気味が悪い。
住宅街が見えた時、安心感と共に違和感を感じたのを覚えている。
あと少し、手を入れるだけで嗚咽してしまうような場所を撫でられているみたいな、確かで不快な違和感を。
それからどうやってホテルまで行ったのかは、覚えていない。
観光したのか、本当に旅行に行ったのかも•••
あの場所は結局何だったのか•••
何故知らない街を知ることになったのか•••
判然としないままだ•••
まるで、全てが夢であったかのように•••
まとめ

夢で見た場所を、実際に現実で目の当たりにすることは実例として多い
前世の記憶という説があったり、記述のように記憶に残っていただけという場合もある
どちらにせよ、夢というのは現実と一緒で不確かなものだ
以上で、【怖い話】夢の怖い話「知らない街」を紹介※眠れなくても責任取れませんを終わります。
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