あなたは怖い話は好きですか?
老若男女、一度は見たり聞いたりなど、怖い話に触れる機会はあるのではないでしょうか。
そんな中でも「ストーカーの怖い話」は舞台としてはメジャーと言えるでしょう。
今回紹介するストーカーの怖い話は「思わせぶり」です。
夜中に読むのはおすすめしません。何故なら、眠れなくなっても責任は取れませんから•••
それでは、ごゆっくりお楽しみください。
他の怪談も気になるという方は、下記の記事を参照ください。
【怖い話】ストーカーの怖い話「思わせぶり」

夜遅く、細い小道で二人は出会う。
月も陰り、一寸先を見渡すのも険しい夜更けの道。
少ない街頭に照らされたその顔に、緩んだ気持ちを恨みます。
誰も予想できるはずがない、これからの展開も。
誰も外すことができなかった、決して良縁とは言えない縁も。
誰が示し合わせたわけでもないのに、出会ってしまった運命も。
いっ時の安らぎとは等価とは言えない物語と一緒に、心から中指を立てます。
添える言葉は、そう•••
「思わせぶりな態度取ってんじゃねぇよ!!!!」
日付が変わるか変わらないか、それくらいの時間だったと思う。
夏の終わりだというのに、肌寒く、急いでいたとはいえ半袖で出てきてしまったことを後悔していた。
このまま帰ろうかと思ったけど、歩いても歩いても心の整理がつかない。
何が良くて何がいけなかったのか•••
どこを間違えたのか•••
何で理解してくれないのか•••
心の中に溜まっていた悲しみが刺激される。
溢れ目から流れ出る。
ダムの貯蔵量も限界だった。
歩きながらひとしきり泣いた。
誰にも見られたくないという思いもあったけど、止める事ができなかった。
深夜で良かった•••
そう思いながら小道にあった花壇の淵に腰をかけた。
何も植わっていないもぬけの殻の花壇に自分を重ねたりもしたけど、すぐに無意味と気づきやめる。
まだ心の中にはどうしようもない思いが残っているようで、目から水道の水漏れのように流れている。
疲れたな•••
これからどうしよう。いっそのこと•••
そんなことを考えていた時、彼が声をかけてくれた。
こんな夜更けに一人で•••
と疑問に思いはした。
飲み会の帰りか•••
仕事が遅くまであったのか•••
•••不審者か
彼には悪いけど、勝手に不審者扱いしてしまった。
だけど、不審者だろうが何だろうがもうどうでもいい。どうにでもなれ。
そう思い顔を上げる。
思わず見入ってしまった。
そこにあったのは、彼の優しさが滲んでいるような柔和な笑顔だった。街頭にほのかに照らされた穏やかな表情に私は見入ってしまった。
「大丈夫ですか•••?」
どうやらダムの中身は全部吐き出してしまったらしい。
強がりで返事をしたわけじゃない。
寄せ付けまいとしたわけじゃない。
ダムの壁を厚くしようともしていない。
ただ、本当に、本心からそう想った。
「•••はい」
彼は私の返事を聞いて、安心したような顔で立ち去ろうとする。
心配してくれていたんだ、と嬉しくなった。
私は立ち去ろうとする彼に声をかける。
心配してくれたことを盾に何かお礼をしたいと連絡先を聞き取る行為に若干引けがありはした。
だけど、彼は心置きなく二つ返事でスマフォを取り出す。
私の心はさっきまでとは打って変わって別物になっていた。
ダムへは悲しみではなく、愛が。
目ではなく、全身に幸福感が流れている。
これからどんな楽しい事が待っているんだろう•••
期待で胸が膨らむとはこのことなのかもしれない。
私はウキウキしながら家路に着く。
その日から彼との連絡が始まる。
好きな食べ物は何?
映画は?趣味は?
•••タイプの女性は?
いろいろ質問してしまったと思う。
でも、仕方ないよね。だって彼のことをもっと知りたいんだから。
彼も嫌な顔一つせず応じてくれていた。
相性がいいのかもしれない。
それは会話の中でも窺えていた。
彼は実はだらしない性格らしい。読んだ本は巻数とは別に直してしまったり、靴下は裏返しのまま洗濯機に入れたり•••
そういうところが可愛く思えてしまう。
几帳面な私とは対比のように見えるけど、裏を返せば足りないところを補えるってことだから。
運命を感じてしまう。
この間あんな夜中に出会ったのは、どうやら夜勤に出向く最中だったらしい。それなら納得だ。
彼との距離はどんどん近づいていた。
一日何通もメールを送る。
夜に一緒に出かける。
家にお邪魔したこともある。
こんな毎日が続いて私は幸せだった。
これも全て彼のおかげ。
日頃の感謝を伝えたい。
仕事で頑張っている彼を応援したい。
そう思いながら彼のマンションに向かう。
この日は彼の部屋を掃除した。
彼の言う通り、本棚は統一性がないし、洗濯物は積み上げられ、衣服は裏返しの物が多かった。片方無い靴下なんかも珍しくない。
私は綺麗に掃除、整頓し帰宅する。
帰った時に部屋の様子を見て連絡をくれるかもしれない、と思ったりしたけど、ズボラな彼だ。気づいていないのか通知が来ることはなかった。
そんなところも可愛く思えるのだけど。
次の日は彼の部屋にDVDを届けに行った。
彼の好きな映画の続編が出たから。
本当は一緒に観たかったけど、忙しい彼だ。時間が合わないのは仕方がない。
夜勤もある仕事だし、休める時間はあるのだろうか•••
仕事の合間でも、楽しんで疲れを癒してほしい•••
彼でも気付くように机の上に置いて家を出た。
彼からの連絡は来ない。多分疲れてそのまま寝てしまったんだと思う。
彼の身体が心配になってくる。
頑張り屋でズボラな彼だけど、私へはいつも気を使ってくれている。
変な要求はしない。
メールより直接夜会うことを優先してくれている。
夜一緒に出かける時も、車とか危険なものが私に向かないように常に周りを気にかけてくれる。
こんな良い彼氏はいるだろうか。
だからこそ心配になる。
応援したくなる。
尽くしたくなる。
きっとまともなご飯も自分では作らないんだろうな。
私は、彼の好きなカレーを作ってあげることにした。
材料を買い彼の家に出向く。
台所で調理器具をまさぐり、食材を切り分け煮込む。
彼が食べている姿を想像すると笑顔が止まらない。
カレーをコトコト煮込んでいると、玄関から物音がした。
ガチャッ
私は不思議に思う。
「?彼は仕事のはずだけど•••」
ドタドタドタドタドタドタドタバタ
彼が勢いよく走ってきた。
台所で調理している私を見て立ちすくんでいる。
きっと献身的な私の姿に感動しているのかもしれない。
「あら?どうしたの?夜勤でしょ?そんなに急いで帰ってこなくていいのに•••」
笑顔で声をかけた。あの時私にしてくれたみたいに•••
彼が少しでも安らいでくれたらいい、そう思っていたけど、彼から返ってきた言葉は意外なものだった。
「何してんだよ!?」
「人の家で何してんだって聞いてんだ!!」
「どうやって入った!?」
「なんでカレー作ってんだ!?」
「この間のDVDもお前か!?」
「部屋が変に掃除されてるのも•••」
「何が目的だ!?」
「夜中に後をつけてくるのもお前だろ!?」
「ほんと何してんだよ!!」
「出てけよ!!」
「警察呼ぶぞ!!」
最近はメールを送っても無口だったのに、今日はすごく饒舌な彼だった。
なんで•••どうして•••
と返はするけど、彼は聞く耳を持っていなかった。
私達•••付き合ってるのに•••
私がそう言った時•••
「そんなわけないだろ!!ストーカー女!!」
どういうこと•••メールとか•••楽しかったじゃん•••
「最初だけだろ。無視したのにそっちが送ってきてただけだろ!!うんざりなんだよ!!」
一緒に•••夜出かけたり•••
「それはお前が勝手に後をつけてきただけだろ!!」
あんなに優しかった彼の顔が、見る影も無く険しい表情で私に怒りをぶつけてくる。
なら•••なんであんなに優しく•••
「は?何言ってんだ•••?」
すでにダムの中身は変わってしまっていた。
足の先から頭の先まで。
激しい憤怒で犯される。
思わせぶりな態度取ってんじゃねぇよ!!!!
私は叫び、彼の部屋を出る。
怒りでいっぱいだったダムも、ひとしきり爆発した後は違った感情でいっぱいになる。
またか•••
目から悲しみが溢れ出た。
辛い•••悲しい•••空しい•••
どうしようもない気持ちでいっぱいになる。
もう疲れたな•••
私は小道にあった花壇の淵に腰をかける。
これからどうしよう•••
私は目を伏せ水漏れを起こした水道を拭き取っていた。
もういっそこのまま•••
そんなことを考えていた。その時•••
「•••大丈夫ですか?」
誰かが声をかけてくる。
不審者か?
私は顔をあげる。
そして•••
「•••はい」
私のダムは愛で満ちた。
まとめ

彼とのメールは途中で途絶えていた
夜、彼の後をつけることで家を特定し合鍵を作る
彼は、家の様子に気づき、夜勤に出かけるふりをして戻ってきた
以上で、【怖い話】ストーカーの怖い話「思わせぶり」を紹介※眠れなくても責任取れませんを終わります。
他にも、【怖い話】ストーカーの怖い話「厳選4選!!」を紹介※眠れなくても責任取れませんという記事もあるので、興味がある方は是非ご一読ください。
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