あなたは怖い話は好きですか?
老若男女、一度は見たり聞いたりなど、怖い話に触れる機会はあるのではないでしょうか。
そんな中でも「配信者の怖い話」は舞台としてはメジャーと言えるでしょう。
今回紹介する配信者の怖い話は「おかえし」です。
夜中に読むのはおすすめしません。
何故なら、眠れなくなっても責任は取れませんから•••
それでは、ごゆっくりお楽しみください。
他の怖い話も気になるという方は、下記の記事を参照ください。

【怖い話】配信者の怖い話「おかえし」

全く世知辛い世の中になったもんだ。
テレビを付ければ、政治家の汚職事件が。
ネットを見れば、芸能人のゴシップネタが。
外に出れば、信号無視、優先座席の横領、我が物顔でコンビニの前に鎮座するヤンキー•••
見たくないもので溢れている。
昔、歩きタバコをする知人に、何故そんなことをするのか、恥ずかしくないのかと聞いたことがある。
返ってきた言葉はこうだ。
「みんなしてるだろ」
みんなって誰だよ。
少なくても自分はしていない。
寧ろ知人でしてるのはお前だけだ。
こういう、他人のことを慮れない輩は、大抵目には見えない「みんな」を盾に出し正当化してくる。
そして、「みんな」を引き合いに出してくるのは、知人だけじゃない。
政治家の汚職事件や、芸能人のゴシップネタも、「みんな」に受けるから長尺を使って放送するんだろう•••
信号無視をする輩も、優先座席を横領する輩も、コンビニの前で鎮座する輩も•••言い訳には「みんな」を使うだろう。
なんなんだよ、「みんな」って。
じゃあ、「みんな」が右向いたらお前たちも右向くのかよ。
「みんな」が無視していたらお前たちも無視するのかよ。
「みんな」が暴力を振るえばお前たちも振るうのかよ。
何も考えずに周りを見て動けば楽でいいだろうな。
それなら、お前たちが仮定する「みんな」に入りきれない奴はどうなる。
弾くのか?数に入れないのか?いないことにするのか?
いい加減理解しろ。
お前たちの言う「みんな」は、「お前たちにとって都合の良いみんな」だ。
だから、「全員」とか、「いっぱい」とかいう意味で使うな。
そして、お前たちにとって都合の悪い奴は、「みんなに入りきれない奴」は苦油を飲まされる事になる。
「みんな」とか言う排他的な数の暴力で押しつぶされるのだから。
そんな奴はいつだって、敗者であり、悪者として扱われる。
いつの時代も、多数は正義とされているからな。
数の暴力には誰も逆らうことができないんだ。
肝に銘じておいた方がいいぞ。
だって、いつまでも•••
お前たちにとって都合の良いみんなでいるはずはないのだから。
初めに気づいたのは、ルーターの設定画面を表示した時だ。
様々な危機をWi-Fiに繋いでいたから、不要の物は切断しようと軽い気持ちで開いたのだが•••
知らないスマートフォンが一覧に表示されていた。
一瞬、前使っていた物を繋いだままなのか?と無駄な考察をしてしまったが、事実は違う。
誰かがうちのWi-Fiを拝借していた。
どうやって接続した•••
パスワードは簡単にバレるようなものじゃないはず•••
逡巡しては見るが、答えが出るはずもない。
結果として、接続されているんだ、何かしらの方法を取ったのだろう。
だが•••まさか電波を盗む輩が出てくるとは•••
そこら辺のフリーWiFiで我慢できないものか•••
切断してパスワードを変えようかと思ったが、またパスワードを調べて接続されれば元の木網になる。
しばらくは泳がせて様子を見る事にした。
それに、誰が電波ジャックをしたのかは検討が付いている。
先日うちのアパートの隣に部屋に引っ越してきた隣人だ。
挨拶はないが、買い出しの際に見かけた事がある。
髪は金というか、白というか、綺麗とは程遠い薄汚い色をしている。
服装は黒を基調としていて、首や腕周りに金色のアクセサリーをジャラジャラと纏っている。
やんちゃな見た目の男だった。正直好感は持てない。
この男以外では、住人の入れ替わりはないので、まず間違い無いだろう。
そして、この男、臆すことなくうちのWi-Fiを享受しているようだ。
アパート特有の壁の薄さで音が漏れ伝わってくる。
どうやら何か動画や番組を見ているらしい
試しにWi-Fiを切ってみた。
しばらくした後、奇声と同時に壁を叩く音が聞こえる。
やはりうちのWi-Fiを使っていることは認識しているようだ。
すぐに繋ぎ直すが、男は気づいておらずしばらく怒鳴り散らかしている。
そして、繋ぎ直した事に気づいたのか、奇行は収まっていた。
確定的だった。
どうしたものかと悩みはしたが、結果、知らんぷりをする事にした。
奇行が続けば流石にきついが、Wi-Fiを止めなければ早々ないだろう。
見た目はやんちゃだが、頭までやんちゃ•••なんてこともないと信じたい。
ネット回線の契約はしているだろうから、繋がるまでのその場凌ぎの行動だろうと想定する。
それに、放置していても特に害はないのだから。
だが•••
スマフォ一台のみのと看過していたが、パソコンや周辺機器まで繋げ出した。
外で顔を合わす事が時々あったが、会っても何食わぬ顔だ。
寛容な心で見逃していたが、腹が立ってきた。
ある日の事だ。
•••多分配信をしているのか、誰かと話しているような音が聞こえる。
内容ははっきりとは聞こえないが、「リスナー」や「登録」などの配信特有の単語は聞き取れた。
またWi-Fi切ってみた。
前回同様、壁を蹴りキレ散らかしていた。
そして吐き捨てるように今からうちに来ると高らかに宣言していた。
ドアを叩く音が聞こえる。
何度も何度も。
打楽器か何かと勘違いしているのか?
音楽に興じたいのであれば、駅前の音楽教室にでも通えばいいのに•••
ロックかポップかよくわからないが、Bメロまで続きそうな勢いなので渋々対応する事にした。
扉を開け応対する。
男は、よくわからない事を声高に叫んでいた。
語彙は単調で理屈は通っていないが、主張としては「早くWi-Fiを繋ぎ直せ」という事だった。
盗人猛々しいとはまさにこの事だ。
しかし•••
捨て台詞のように身体を翻しながら言った「配信者に使ってもらって逆に感謝して欲しいくらいだ」という言葉•••
無性にうちの心を掻き乱した。
この日はWi-Fiを入れ直し解散。
なるほど•••
確かに、高名な配信者様に使っていただけるのは光栄な事かもしれない。
これは、しっかりとおかえししないとな。
そのためには、相手のことをよく知らないといけない。
男がどんな配信をしているのかが気になった。
あの時間に配信していて•••一度中断されている配信•••
様々なプラットフォーム、SNSを駆使し検索する。
•••どうやら某動画サイトで配信している様だった。
確信を得るために、数度、男が配信している時に接続してみる。
間違いないようだ。
そこには、汚らしい髪の色をした、どうしても好感が持てない男が画面前に居座っていた。
画面の前では仮面を被っているらしく、この間の様な奇行は見ることが出来なかった。
自身のやんちゃさを売りにはしていないらしい。
誠実、純粋、清廉さの押し売り、猫撫で声を使っての女性視聴者への対応•••
どれも吐き気がしたが、これがこの同接している人たちには受け入れられているのだろう。
一つも理解できないが。
だが、まあ確かに。
うちのWi-Fiを使って、これだけの人たちに届けてもらえてるのであれば、感謝しないといけないのかもしれない。
おかえしの準備をしなければ。
特大のな。
入念に準備を進め、当日を迎えた。
男が配信しているのを確認し、Wi-Fiを落とす。
奇声と同時に、壁を殴る音が聞こえる。
穴が開かなかったのが不思議なくらいに。
そしてなんとも陳腐なセリフを吐きながらも、足音からうちに向かってくるだろう事が推測できた。
うちにたどり着くまでの間に、Wi-Fiを繋ぎ直すした。
扉を叩く音が聞こえる。
ドラムか何かと勘違いしているのか。
しかし、その重低音は、ライブ会場の如く身体の芯まで振動を届けていた。
あながち間違っていないのかもしれない。
扉を開け応対する。
すると、うちの姿を視認したか否かくらいのタイミングで手を伸ばし胸ぐらを掴まれた。
あまり慣れない姿勢に息苦しさを感じつつも、予想以上の対応に内心では少しホッとしていた。
男は怒鳴り散らかしていた。
「配信中に何してんだ」
配信中だからこそ、こうしたんだ。
「どれだけの知名度があると思ってやがる」
10万人だろ?もっと上がいるだろうに。
「俺の一声でみんなお前の敵になるんだぞ」
みんながアクティブユーザーで、みんな信者だと思っているのか?
男は空いている手で拳を作り振りかざす。
いつまでもそのみんなが味方だと勘違いしているのか•••
殴られるのを覚悟していたが、どうやら矛を納めたらしい。
何も喋らず、目を伏せていたうちの態度に毒気が抜かれたのか、一瞬間を置き、ため息をつきつつも、声量は変えずに吐き捨てる。
行き場を無くした手は、役目を得て安心した事だろう。
うちの部屋の奥を指差す。
「今すぐWi-Fiを繋げろ」
そして男は自分の部屋へと戻っていった。
嵐のように去っていった男を一瞥しつつ、玄関の扉を閉める。
そして、一言呟く。
「これで配信を終わります」
しばらくして、隣から悲鳴のような声が聞こえた。
「何が•••起こって•••」
みたいな言葉が聞こえてくる。
泣いているのか、嗚咽みたいな汚らしい雑音も壁を突き抜けて聞こえてきた。
それは起伏はあるも、一晩中続いていた。
動画サイトやSNSを覗いて見ると、どうやら言い訳を並べ、事態の鎮静を図っているようだった。
無駄なのに。
次の日、隣の玄関を開ける音が聞こえたから出てみる。
男はうちに気付くも、突っかかってくることはなく、まるで別人のように俯き、消沈した様子で歩いていく。
しばらくして男のチャンネルは閉鎖していた。
それと同時期、男は隣室から姿を消す。
引越したらしい。
ルーターの設定画面を確認すると、接続数は平常に戻っていた。
嬉しいな。気持ちがちゃんと届いた様で。
事の顛末はこうだ。
ずっと配信していたんだ。男とは別に。
もちろん、男が言う知名度、なんてものは持ち合わせてはいないし、配信を開始しても誰も見てく流わけがなかった。
それでも構わずずっと回していた。
そして、大量のアクセスを集めることができた。
それは、決して配信初心者が集めることが出来ない量のアクセスだった。
流入源は、もちろん男がしていた配信先から。
10万人みんなが、というわけにはいかなかったし、騒ぎを聞いて駆けつけた野次馬も混ざっていただろう。
それでも十分過ぎる成果と言える。
おかえしを準備した甲斐があったというものだ。
男の言う、「みんな」に男の魅力をしっかりと伝えることが出来たんだから。
そして見ていた視聴者も心配だったと思う。
配信が途絶えて、再開したと思ったら、薄い壁越しに響く重低音、何事だと思っただろうな。
何が起こっているか理解できていない視聴者に、教えてあげないとな。
ドラムの演奏中に一言、コメント欄に書き込む。
内容なんて何でも良かった。
◯◯の本性が•••
とか•••
◯◯の実態•••
そんな様な事を書いて、うちの配信先へ誘導するだけだ。
謳い文句は忘れた。
それから、男に応対する。
起承転結の、結に行き着くまで、配信は見ることができなかったが、多分うちのコメントは、大勢のコメントで埋もれていっただろう。
でも、ほんの少し、数人だけ、反応してくれたんだと思う。
それは波のように、最初は小さくても、次第に大きくあたりを飲み込んでいった。
それだけの破壊力がうちの配信にはあったのだから。
コメントに添付されているURLを検索すると、どこかの廃れたアパートの一玄関先が映像として映し出される。
最初の方に閲覧した視聴者からしたら、玄関の扉が映し出されただけの映像に、釣りを疑ってしまうだろうが、そんな疑念もすぐに吹き飛ぶだろう。
聞き覚えのある重低音が聞こえてくるのだから。
そして、男の奇声が•••
衝撃だったろう。
そんな大きな声を、はしたない言葉を、乱暴な行動を•••
男がするなんて思っても見ないだろうから。
そのまま配信は続く。
大きな波に乗った視聴者は更に衝撃的な映像を見ることになる。
まさか暴力までしてくれようとは•••
画角とか悩みに悩み抜いたが、結果として漏れなくお届けすることが出来たようだ。
その結果、登録者減少、炎上への発展、そしてチャンネル閉鎖だ。
よかった。嬉しいな。
おかえしはしっかり届いたようだ。
男は引っ越した後、今何をしてるかは知らない。
きっと、喜んでくれていることだろう。これに懲りたら、人のものを勝手に使うのはやめる事だ。
そして、盲信している勘違いも正すべきだろう。
配信者だろうがなんだろうが、いつまでも「みんな」はお前たちの味方じゃない。
ちょっとした言動で、態度で、行動で、いとも簡単に敵になる。
それを理解しないうちに、有名だ、知名度だ、なんていう配信者な、いつか痛いしっぺ返しをもらうことになる。
それが今回、おかえしだったというだけの話だ。
まとめ

登録者や同接数、再生回数など、数で一喜一憂するが、その分マイナスに働く事も頭に入れておくべき
画面の前と、私生活とのギャップが開くと、エンタメの一言では理解されない場合もあるだろう
配信しているのは、その人の本性か•••はたまた仮面を被っているのか•••真実は誰も知り得ない
以上で、【怖い話】配信者の怖い話「おかえし」を紹介※眠れなくても責任取れませんを終わります。
他にも、【怖い話】配信者の怖い話「厳選6選!!」を紹介※眠れなくても責任取れませんという記事もあるので、興味がある方は是非ご一読ください。

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