あなたは怖い話は好きですか?
老若男女、一度は聞いたり話したりなど、怪談に触れる機会あるのではないでしょうか。
そんな中でも「未来の怖い話」は舞台としてはメジャーと言えるでしょう。
今回紹介する未来シリーズは「無慈悲な挨拶」です。
夜中に読むのはおすすめしません。何故なら、眠れなくなっても責任は取れませんから•••
それでは、ごゆっくりお楽しみください。
他の怪談も気になるという方は、下記の記事を参照ください。
【未来シリーズ】「無慈悲な挨拶」
高度成長期の真っ只中、空飛ぶ車や宇宙旅行などの夢は恐ろしい速度で叶えられてきた。
前までは「夢」だったものが「現実」に。
次々と不可能が可能に変わっていく。
その中で人類はまた一つ偉業を成し遂げた。
それはロボットの運用だ。
数年前から自立思考型のロボットが試験的に街中へ放出されている。
「人にロボットに慣れてもらう」なんて名目上の理由はあるが、どうやらこれから危険な仕事だけでなく、人員不足であった各業界にとうとうロボットを参入するための試験的な運用が目的らしい。
大層立派な計画なこって。しかし、ロボットが業界に入るということは、技術職の職人や手に職が付けられない高齢者はどうなるのだろう。ロボット自体を毛嫌いしている俺はどうも悲観的なことしか頭に過らない。
専門性や就職事情について悲観したりはしたが、実際嫌いな理由としては別にある。
単純に気味が悪い。
「ロボット」と言ってもどこかの猫型ロボットみたいに表情が豊かなわけではないし、宇宙で戦う機動戦士みたいにかっこいいフォルムをしているわけでもない。
無表情で人間の形を模しているだけの精気の無いマネキンに近い。
しかもそのマネキン、大人の背丈だけでなく、子どもや老人、果ては犬と実に多様な姿が用意されている。
それが町中を歩いているところを想像して欲しい。
そしてそのロボットが人間みたいに会話をしている。その内容も「どこどこのスーパーで値引きが•••」「あそこの住民が•••」
など寄せなくても良い部分まで人間に寄せている。また声の抑揚も誰かが裏で喋ってるのでは無いかと疑いたくなるくらい流暢だ。
それが俺にとっては気味が悪くて仕方がない。
当のロボット本人?がそれを感じているかは定かじゃないが、この感情が大きく変化することはない。そう確信したのはつい昨日のことだ。
近くの仕事場まで歩いて向かっている時のことだった。
空飛ぶ車が主流となり、地面に面している道路は使用されず歩行者・自転車専用道路となっているところがほとんどだ。
昔の名残で、歩道と車道に区切りがあるが、概ね歩道は歩行者、車道は自転車が通行する幅として認知されている。
時代は先に進むが、現状はなかなか追いつき切れていない。
俺は歩道を歩きながら街並みに目を配る。
ロボットが町中を跋扈しているとは言え、そこまで台数はなく、ちらほら見かける程度。今の俺の視界には映っておらず、緑がまだ残る閑静な景色を眺めていた。
すると後ろから3台の自転車が縦並びに車道を走ってきた。
その光景に俺は思わず絶句した。
ロボットが自転車を漕ぎながら走っているのだ。
しかも、3台とも所謂ママチャリであり、前の籠へは赤ん坊に模したロボットを乗せていた。
ロボットは平然と進んでくる。俺は顔を伏せ知らぬ顔で通り過ぎるのを待つ。
俺の横を通り過ぎようとした時、自転車を漕ぎながら3台のロボットが一斉にこちらを向いたのが機械音でわかった。そして•••
「おはようございます」
一定の間隔で、一定の距離で、一定の抑揚で
予め定められたラインを越えると音が鳴る仕掛けでも施しているかのようにロボットが一台一台俺に挨拶をしてくる。
中でも1番驚いたのは•••
赤ちゃん型のロボットまで挨拶をしたことだ。
「おはようございます」
これからどんな世界になっていくのだろうか。人間性とは何なのか。また、誰にとっての人間性が主流になるのか。
不安で心が押し潰れそうだ。
まとめ
ロボットが生活に溶け込むことはあるのか•••
AIが中心に世界を回し始めたとき、真の人間性は誰が主張するのか
人間に模して作ったロボットに思考が、精神が、頭脳があるのであれば、それはロボットと言えるのか
以上で、【未来シリーズ】「無慈悲な挨拶」を紹介※眠れなくても責任取れませんを終わります。
他にも、【未来シリーズ】「厳選4選!!」を紹介※眠れなくても責任取れません記事もあるので興味がある方は是非ご一読ください。
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