あなたは怖い話は好きですか?
老若男女、一度は見たり聞いたりなど、怖い話に触れる機会はあるのではないでしょうか。
そんな中でも「車の怖い話」は舞台としてはメジャーと言えるでしょう。
今回紹介する車の怖い話は「見てくれない」です。
夜中に読むのはおすすめしません。
何故なら、眠れなくなっても責任は取れませんから•••
それでは、ごゆっくりお楽しみください。
他の怖い話も気になるという方は、下記の記事を参照ください。
【怖い話】車の怖い話「見てくれない」

誰も私を見てくれない。
家族も、友人も、恋人でさえも•••
私のことを見てくれる人は一人もいないんだ。
もしかしたら、この人は私を見てくれているのかも知れない•••
そう思ったことはある。
だけど、大概それは、相手の気まぐれだったり、私が偽善を押し付けている時だけだった。
つまり•••みんなが見ているのは•••
「自分にとって都合の良い私」に過ぎない。
いつまでも、顔色を窺って生きていくのには辟易していた。
いい加減、気づいていたんだ。
「私が私以外を演じることは無理なんだ」って。
「相手都合で生きていくのには限界があるんだ」って。
こんなにも•••「心が擦り切れてしまうんだ」って。
だから、変わることにした。
相手が、本当の私を見てくれないんなら•••
「無視できないくらい、私が見てあげればいいんだ」
その視線に、何が込められていようとも•••
私の居場所はどこにも無かった。
居場所は無い、とは言っても、在籍はしている。
だけど、物凄く居心地が悪い。
何故なら•••誰も私を見ていないから。
いや、違うか。見てはいる。
「都合の良い私」を。
調子が良い時は、擦り寄るように近づいてきて、それ以外は一定の距離を開けて離れる。
悪ければ無視なんてこともざらにある。
まるで、餌を持っている観光客に、頭を垂れながら近づいてくる鹿みたいだ。
場合によっては大勢で寄ってくるのに、餌が無いと気づけば途端に離れていく。
気持ちが悪い。
利己的、と言えばまだ聞こえがいいその行動は、私からすればただの凌辱に過ぎない。
本当に、嫌らしく、厭わしく、忌々しい。
今、目の前にいるこの男も一緒だ。
客として入店して来た、私の財布しか見ていない。
「私に合うように」なんて名目で、あれやこれやと追加オプションを勧めてくる。
なんだ、サンルーフって。
車内が明るくなって写真映えも良いって?
私が自撮りしてSNSに挙げるタイプに見える?勘違いも甚だしい。
フロアマットもどうかって?
周りに付けてる人なんて見たことがない。何なら、会社の社用車にも搭載されていないのに。
良い人を装って、食い物にしようって魂胆が透けて見える。
結局、「都合の良い私」しか見ようとしていない。
私は吐き気がして店を後にする。
その帰り道、憂に鬱に浸りながらも考える。
どうして「私」を見てくれないんだろう•••
信号の赤いランプの示す意味とは裏腹に、思考は加速する。
私は、誰かの財布じゃないし、使い捨ての駒でもない、ましてや慰み物なんかじゃない。
誰も彼もが、在っても無いようなフィルターに私を通し、勝手なイメージを脳内に植え付ける。
そんな「都合の良い私」しか認識しない、しようとしない。
ディーラーでさえも見下してくるこの世界に、私の居場所なんて無いんだ。
そう考えると、何かが吹っ切れた。
そうか•••
ならいっそのこと、私も一緒になればいいのか。
信号は鈍く青色に光った。その色彩に反応し身体は動き出す。
だけど、身体とは裏腹に、思考は真逆の赤色に染まっていった。
何を悩んでいたんだろう。簡単なことだ。
相手が求めてくるんだ、私も求めればいい。
だって、どちらかが損する世界なんて、不公平だよね。
ほら、憲法の•••14条だっけ?法律が公平を謳ってるんだから、それに則らないとね。
だから、今まで求められてきた分、まとめて返してもらおう。
別に良いよね。
「私にとって都合の良いあなた」になってもらうだけなんだから。
新しい一歩を踏み出した、そんな気がした。
顔は自然と前を向く。
規則正しく並んでいる白線から視線は前方へと映り、視界が広くなる。
そして、視界の右端に、一台の車が映り込んだ。
何故か気になった。
目を離せない。
そんな気がした。
それでも歩き進める。
だって、信号があるもの•••止まる•••よね。
車はスピードを緩める様子が無い。
次第に怖くなる。
それと同時に、足が、身体が重くなっていくような気がした。
何かが、何人もが身体に纏わりついているような錯覚すら覚える。
そして•••
激しい轟音と共に、私の視界は乱れた。
何が起こったかも理解できないけど•••
見えた。
車と衝突する直前、車内が•••フロントガラスから見えた。
運転手と・・・目が合わない。
運転手の視線は・・・私を捉えていない。
視線の先は•••メーターの横、カーナビに向いていた。
そうか、この人も私を見てくれないんだ。
私の人生に干渉するくせに、私のことを見ていない。
わかったよ。
私を無視するお前も、財布としか見ていないディーラーも•••
そのままで居てくれて構わない。
代わりに•••
私はずっと見ているから。
まとめ

信号は守っていても、もしかしたら•••を意識して周りに注意をするべき
相手からどう見えるか、相手にどう見られるか、どう見せるのか•••
どれもこれも、誰も彼も、主観でしかなく、強要できるものでは無い
以上で、【怖い話】車の怖い話「見てくれない」を紹介※眠れなくなっても責任取れませんを終わります。
他にも、【怖い話】車の怖い話「厳選4選!!」を紹介※眠れなくても責任取れませんという記事もあるので、興味がある方は是非ご一読ください。

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