【怖い話】海の怖い話「魔法の瓶」を紹介※眠れなくても責任取れません

波に揺れる瓶

 あなたは怖い話は好きですか?

 老若男女、一度は見たり聞いたりなど、怖い話に触れる機会はあるのではないでしょうか。

 そんな中でも「海の怖い話」は舞台としてはメジャーと言えるでしょう。

 今回紹介する海の怖い話は「魔法の瓶」です。

 夜中に読むのはおすすめしません。

 何故なら、眠れなくなっても責任は取れませんから…

 それでは、ごゆっくりお楽しみください。

 他の怖い話も気になるという方は、下記の記事を参照ください。

目次

【怖い話】海の怖い話「魔法の瓶」

四角い瓶

 小さい頃に聞いたんだ。

 「瓶に手紙を入れて、海に投げると願いが叶う」って。

 素敵じゃない?ロマンがあるよね。

 聞いた時は、本気で信じてたっけ。

 今となっては「ただの迷信だ」って理解している。

 ほんと、小さい時の無邪気さは、いつの間にか消えてしまうよね。

 だからこれは「信じてる」とか「ロマン」とかそんな素敵なものじゃない。

 「憎しみ」とか「恨み」とか、そういう見苦しくて最悪な行いだ。

 それでも私は、願わずにはいられなかった。

 誰かの不幸を願うことに抵抗は無く、寧ろ肯定してしまったんだ。

 そして、気付く。

 願いは、誰かに聞いてもらうものじゃなくて、自分で叶えるものなんだって。


 最初は本当にただのお願いだった。

 「違ってほしい」「勘違いであってほしい」そう思って想いを瓶に詰める。

 旦那の浮気を疑いたくなかったから。

 トイレやお風呂に行く時も、スマホを持って行く。

 夜中に私に背を向けて、誰かと連絡を取っている。

 仕事だと言って出て行くけど、街中で女の人と歩いていると友達から連絡が入る•••

 悪い予感がしていた。

 何か、大事な物にヒビが入っていくような、そんな感覚が。

 だからこそ、手紙には心の底からの本音を書いた。

 「浮気しないで」

 涙で少し滲んでしまったけど、大丈夫だよね。

 きっと叶うよね。

 だけど、そうはならなかった。

 夜ご飯の買い物をしている時に、見かけてしまった。

 旦那が•••女の人と歩いているところを。

 手を繋ぎながら楽しそうに歩いている姿を見て、何故か私が悪いことをしているような、覗き見しているような感じがしてバツが悪かった。

 奥歯の奥から、じんわりと苦味を感じる。

 涙が止まらず、嗚咽で胸が痛かった。

 「私を見て」

 ただそれだけ、それだけを•••瓶に詰める。

 それでも、旦那は私を見てくれなかった。

 もしかしたら、願いが足りなかったのかもしれない。

 もしかしたら、もっと早く願っていれば叶ったかもしれない。

 そんなことを考えもした。

 だけど、それはとても遅すぎた。

 瓶を投げた次の日、旦那が離婚届を持ってきた。

 理由は「生活リズムが合わない」だとか「性格がどうたら」とか色々と後付けのように話してきたけど、その全てが嘘だという事を私は知っていた。

 そして、もう関係を保てないということも。

 私は、必要事項を記載し、判を押した。

 手から全てがこぼれ落ちた。

 救おうとしても、指の隙間からこぼれ落ちる。

 何一つ残っていない掌を見つめて、絶望に浸っていた。

 もう、どうしようもない現状に、生きていく気力も無くなる。

 自分では思い切れない心のうちを、たった一行にしたためて、海に捨てる。

 「ころして」

 これだけを願って。

 それから数日。

 願いが叶うわけもなく、ダラダラと惰性に暮らしていた。

 そんな時、生まれたんだ。

 一つの希望が。

 それは•••弱々しくも、しっかりとお腹の中に息づいていた。

 涙が止まらなかった。

 前の時のような、悲しい気持ちじゃなくて、嬉しくて、心が温まるような、そんな気持ちで胸がいっぱいだった。

 この子と生きていくと、心に決める。

 それから数年の年月が経つ。

 この子も大きくなり、一人で外に遊びに行くことも増えていた。

 日に日に成長して行く姿を見るのがとても楽しい。

 この子の笑顔を見るだけで、身体の内側から元気が溢れてくる。

 幸せ、ってこういうものなんだなって肌で感じていた。

 だけど、その幸せに•••ヒビが入ろうとしていた。

 「会って話さないか」

 元旦那からの電話だ。

 私から「この子を取り上げる」という内容の電話だった。

 「断れば弁護士を」とか「あの子のために」とか色々と後付けのように話してきたけど、意味がわからなかった。

 一度ならず二度までも私を不幸に突き落とそうとする、この男に対する怒りで頭がいっぱいだったから。

 それでも、この子を離したくない•••会って話すことにした。

 何も、悪事はしていないんだ。取り上げられるわけがないんだから。

 「君の給料じゃ、まともに育てることができないだろう」

 はぁ!?何言ってんの?

 「安心してくれ、妻はとても優しくて頼りになる」

 はぁ!?何言ってんの!?

 「あの子も兄弟が欲しいだろうしな」

 はぁ!?何言ってんの!!?

 「断るなら、弁護士をつけて•••」

 はぁ!?何言ってんの!!!!!!!??

 負の感情が湧き上がる。

 どれだけ器を用意しても、足りないくらいに。

 かつて自分に抱いた想いを、他人にぶつける為に書き殴る。

 「ころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころして」

 放物線を描いて飛んでいく想いを、私は睨みつけた。

 それでも、願いは叶うことがなかった。

 毎日のように、電話を掛けてくる元旦那は、元気に今もピンピンしている。

 そして、気付く。

 そうか•••願うだけじゃダメなんだ。

 使い方が、間違っていた。

 思い至ると、気持ちが少しずつ晴れていくのを感じた。

 振り下ろす手が、痛くて、だるくなるのと反比例して•••

 元旦那が、元旦那かわからなくなるくらいまで振り下ろす。

 「瓶って、こう使えば良かったんだ」

 疲れて立ち上がった時、真っ赤に染まるそれは、ひき肉のように見えていた。

 帰ってきた息子に笑顔で話しかける。

 「おかえり。今日の夜ご飯は決まった?」

 「ハンバーグがいいな‼︎」

 「いいね、お母さん、ハンバーグ得意だから」

まとめ

打ち上げられた瓶
point

願わなければ、願いは叶わない
動かなければ、願いは叶わない
だけれども、願っても、動いても、願いが叶うわけではない

 以上で、【怖い話】海の怖い話「魔法の瓶」を紹介※眠れなくても責任取れませんを終わります。

 他にも、【怖い話】海の怖い話「厳選5選‼︎」を紹介※眠れなくても責任取れませんという記事もあるので、興味がある方は是非ご一読ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA

目次