あなたは怖い話は好きですか?
老若男女、一度は見たり聞いたりなど、怖い話に触れる機会はあるのではないでしょうか。
そんな中でも「人形の怖い話」は舞台としてはメジャーと言えるでしょう。
今回紹介する人形の怖い話は「家族」です。
夜中に読むのはおすすめしません。
何故なら、眠れなくなっても責任は取れませんから•••
それでは、ごゆっくりお楽しみください。
他の怖い話も気になるという方は、下記の記事を参照ください。

【怖い話】人形の怖い話「家族」

「一緒にいたい」それだけなんだ。
辛い時も、楽しい時も、悲しい時も、嬉しい時も•••
一緒に乗り越えて、分かち合う•••
表面上は解り合え無かったとしても、心のどこかでは繋がっていて、最後は一緒に笑い合うことができる•••
「家族」ってのはそういうものだろう?
そう思うからこそ、私は、愚直に体現したんだ。
家族が離れ離れにならないために。
私が繋ぎ止めるんだ。
それが、側から見て違和感がある行為だとしても、関係ない。
だってほら、妻と息子が、こんなに喜んでくれているんだから。
私たちは、幸せなんだ。
妻は病弱だった。
息子は無事に産まれたものの、産後の経過はあまりよくなく、最後まで集中治療室から出ることはできなかった。
「もっと一緒にいたい」「この子と一緒に遊びたい」
未来への希望を口にする妻に、掛ける言葉は限られていた。
毎日、鶴を折り病院へ向かう。
少しでも妻の気持ちが晴れるように、様々な動物を模して折り紙を折る。
妻は辛い病状を押し除け、引き攣りながらもゆっくりと口角を上げた。
掠れた声で「あの子を持ってきて」とだけ告げる。
「誕生日にプレゼントとして手作りの人形を作って欲しい」
妻が初めて私に希望したものが、人形だった。
リビングに飾っていた人形を、治療室で横たわる妻に手渡す。
「また会えたね」なんて涙ぐみながら話しかける姿に、涙腺が緩んだ。
「この子を私だと思って大事にしてね」「あなたと•••息子を•••私の代わりに見守ってくれるから•••」
「あぁ•••私も•••一緒にいたいな•••」
それが、妻の最後の言葉だった。
私は、妻の髪や爪を切り取り、人形の腑に入れ込んだ。
妻の想いが、叶うようなそんな気がして•••
それから数年後、息子はすくすくと育っていた。
妻も私たちの生活を暖かく見守ってくれている。
寂しくないように、私に似せた人形に寄り添って。
ただ、息子はあまりよく思っていないみたいだ。思春期だからだろうか。
受験の忙しさもあるとは思うが、最近息子の私たちに向ける目が冷たい気がする。
昔は、妻に対してもよく話しかけたり、一緒に遊んでいたりしていたのだけど•••
やはり、お母さんに対してよそよそしくなる時期というのは誰でもくるのだろうか。
「また、前のように話せるようになるだろう」そう楽観視していた。
だけど、日が経つにつれ、息子の視線は冷たいものから、痛く、鋭いものに変わっていく。
「どうしてだ•••家族だろう•••」
「どうしてわかってくれないんだ•••」
私は、怖くなっていた。
「いつか、息子が離れていくんじゃないか•••また•••家族が•••」
心が、乾燥し、荒み、掠れていくような気がした。
「一緒にいたい」それだけなのに•••
私は布地を手に取った。
翌日には、妻と私の間に挟まれるように息子の人形を飾ることができた。
妻も喜んでいるのか、眼に使ったガラスが少し光って見えた。
いつものように妻に挨拶をする。
その様子を息子が見ていた。
何が気に入らないのか、普段口を聞くこともないのに血相を変えて詰め寄ってきた。
あまりの形相に臆してしまったが、息子のことを想ってのことであると伝えると、納得してくれたらしい。
そこまで拒まれるとは思っていなかった。
それでも、解り合いたい、一緒にいたいという想いは変わらない。
少しでも仲良くなれるように取り組んでみよう•••
息子が出したゴミを片付けた。
ベッドのシーツや、衣類の洗濯も進んで行った。
物珍しそうに息子は見ていたけど、関心が出てきているのかと思うと嬉しかった。
受験で忙しんだ、いつも息子ばかりを頼ってはいけない。
そうして、ゴミ箱からは息子の爪を、シーツからは身体から剥がれ落ちた皮膚、つまりフケを手に入れた。
息子の人形の腑に入れて縫い付ける。
息子は受験の疲れから、体調を崩し寝込んでしまったけど、この子はどことなく穏やかな表情をしていた。
息子との距離が近づいている気がする。
お粥やうどん、食べやすいものを作り、嘔気がある時は洗面器を持って行った。
あまり口を開かない息子も「ありがとう」とか「ごめん」と口にするようになる。
ある日、咳を抑えるように顔を手で覆っていたが、そこには血液が付着していた。
どうやら胃か食堂を痛めたらしい。
心配する息子に優しく声をかけた。
「大丈夫だよ」
吐物を少し綿に染み込ませたのが効いたようだ。
そして、拭き取った血液を、同じように染み込ませる。
息子の表情が生き生きしているように見える。
それが何より嬉しかった。
息子が寝ている時に、私は一本一本丁寧に髪の毛を抜き取った。
驚いたのか、目が覚めた様子ではあったけど、すぐにまた寝入ったようだ。
抜き取った髪の毛を、息子の中に入れた。
翌朝、私は挨拶をしに妻と息子に会いにいく。
息子の眼からは温か味を感じた。まるで人の体温を秘めているかのように。
妻も普段より表情が明るく、微笑んでいるようだった。
「おはよう、今日もいい天気だね」
もう離れることはない。私もすぐに一緒になるから。
家族団欒を楽しんだ後、部屋にいる息子を見にいく。
冷たく生気が感じられない。無機質な人形のように。
まとめ

人形には魂が宿る•••ということは、人為的に行うことは可能ということ
何が幸せかは人によって違いがある。だが、それを押し付ける権利は家族であっても無いだろう
妻の人形、息子の人形、そして父親の人形、最後は全員一緒になるのだろうか
以上で、【怖い話】人形の怖い話「家族」を紹介※眠れなくても責任取れませんを終わります。
他にも、【怖い話】人形の怖い話「厳選5選!!」を紹介※眠れなくなっても責任取れませんという記事もあるので、興味がある方は是非ご一読ください

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