あなたは怖い話は好きですか?
老若男女、一度は見たり聞いたりなど、怖い話に触れる機会はあるのではないでしょうか。
そんな中でも「ストーカー」は舞台としてはメジャーと言えるでしょう。
今回紹介するストーカーの怖い話は「撃退」です。
夜中に読むのはおすすめしません。何故なら、眠れなくなっても責任は取れませんから•••
それでは、ごゆっくりお楽しみください。
他の怪談も気になるという方は、下記の記事を参照ください。
【怖い話】ストーカーの怖い話「人」

いつからだろう。
背後を気にするようになったのは•••
いつからだろう。
足音に耳を澄ますようになったのは•••
いつからだろう。
夜道に恐怖を感じるようになったのは•••
確かに、子どもの頃は夜出歩くだけでも怖かった。
風に揺れる草木は、怪しく人の顔に見えたし、
雑木や小さなオブジェなんかも人影に見えた。
もしかしたら、振り返ると誰かが居て、ものすごい速さで追ってくるかもしれない。
目の前から歩いてくる人は、実は幽霊で•••
なんて妄想し一人でよく怖がったものだ。
だけど、いつしかこういう妄想は、大人になるにつれしなくなった。
夜道に対しての恐怖心が薄れていた。
それは、単にそういう超常的なものを信じなくなった、というのもあると思う。
だけど、理由は別にある。
人の顔に見える草木も、人影に見える雑木も、ものすごい速さで追ってくる誰かも、目の前から歩いてくる幽霊も•••
全て「人」の形をしている。
つまり、真に怖いのは「人」だということを理解したからだ。
そして、再びその恐怖を思い出したのは、その「人」が関係しているからに他ならない。
人に恐怖し、人に嫌悪し、人に敵対し、人に絶望する。
辿り着いた先で、気づくことになる。
自分も「人」だったということに。
突然だ。
何の前触れも無かった。
最初は気のせいかも•••と楽観的に考えもした。
だが、そんな願いも儚く散った。
決まって仕事終わりに聞こえてくる。
遅くまで残業をして、疲れた精神に響いてくる。
それは一定のリズムは刻んでいるが、ロックのように高揚せず、ポップスのように親しみは無い。
ましてやクラシックのように盛大であったり、演歌のように情景を描いたりはしない。
音楽では例えようの無い不協和音は、後に不吉を迎えるであろうという予感を孕んでいた。
その足音は確実に自分を追っている。
付かず離れず•••
何が目的で、自分に対してどうしたいのかが不明な分、恐怖で頭がおかしくなりそうだ。
もういつから始まったのかも思い出すことができない。
それほどの頻度•••仕事で遅くなった日はほぼ毎日といっても過言じゃない。
もういっそ、お疲れ様ですと言いたいくらいだ。
こう毎日続くと•••
次第に恐怖に対して考察をし始める。
そしてその考察は意味がないことを悟り、どうして自分に•••疲れている時に心労かけやがって•••と恐怖は怒りに変わる。
あの日は特に疲れが溜まっていた。
連日の残業、上司の嫌味、疲労による失敗の連続•••
全てに嫌気が差していた。
極め付けは、帰り道に感じる嫌な気配。
交わることのない足音の不協和音だ。
怒りは頂点に近かった。
いつもは得体の知れない相手に対して恐怖を感じて早足で撒いて帰るのだが•••その日は違った。
散々嫌な思いをさせられたんだ。仕返しをしてやろう。
そう思った。
決行する場所は頭に思い描いていた。
その場所まで普段通り早足で進んでいく。
曲がり角が見えてきた。
急にスピードを上げて角を曲がる。
相手からは姿は完全に消えているはずだ。
すぐに壁に背をつけ相手の足音に耳を澄ます。
自分の歩くペースに焦り走っているのが耳から伝わってくる。
相手が走りながら曲がり角を曲がる。
姿を視認した。その時、両の手を相手に勢いよく突き出した。
思いの外ぶっ飛んだ。
人形でも突き飛ばしたのかと思うくらいに吹き飛んだ。
あまりの飛びっぷりに罪悪感を感じるほどに。
相手は吹き飛んだ先の縁石に身体を強く打ちつけて倒れる。
倒れはしたが、顔が、目がこちらを見ているのが感覚的にわかった。
倒れても変わらず見つめてくるその姿勢に、腹が立った。
何が目的なんだ、と文句の一つも言いたくなるくらいに。罪悪感なんてどこ吹く風だ。
倒れている相手に近づきながら言葉を投げつける。
「何が目的だ!?何がしたいんだ!?」
言葉は強く、語調も荒い。だが、慎重に、少しずつ近づいていく。
「どうして俺なんだ!?」
そう投げつけた時、気づいた。
女性だった。
一瞬頭が困惑する。
頭がおかしな男性か、空き巣犯だろうくらいにしか思ってなかったから。
だが、相手が誰だろうが、してきた行いが変わるわけじゃない。
きつく言ってやろうと更に近づく。
「あんまり調子に乗ってると痛い目見るぞ!?警察に•••」
そう投げつけた時、気づいた。
相手は動かなかった。
視界はこちらを捉えている、というより視認しているのかも怪し空な表情をしている。
かと思えば時折身体は何かに反応したかのように、ピクッ、ピクッと動いている。
血が溜まっていた。
頭を中心に、歪な円を描きながら広がっていく。
怖かった。今までの恐怖とは違う意味合いで、怖かった。
さっきまで走っていただろう•••俺の後ろを付いてきてたよな•••
もう動くことはないその相手に、違う形で恐怖した。
その場から離れる。
自分は悪くない。相手が悪い。
そう自分に言い聞かせながら。自分を洗脳しながら。
翌日、そしてその後も、テレビや新聞でニュースとして取り上げられることはなかった。
実はそこまで重症ではなかったのかもしれない、相手も自分が悪いと自覚して警察へは行ってないのだろう。
なんて都合の良い妄想で自分を正当化する。
自分でも気づいている。正当化することに正当性が無いということを。
それでも、そうする他無かった。
自我を、精神を、心を、保つことができないからだ。
やはり真に怖いのは、人だった。
まとめ

ストーカー行為は精神的に相手を追い詰めることが多い
自身で対応するのではなく、警察などの公的機関を利用することも視野に入れる
結局「人」が一番怖い
以上で、【怖い話】ストーカーの怖い話「人」を紹介※眠れなくても責任取れませんを終わります。
他にも、【怖い話】ストーカーの怖い話「厳選4選!!」を紹介※眠れなくても責任取れませんという記事もあるので、興味がある方は是非ご一読ください。
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