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【未来シリーズ】「コールドスリープ」を紹介※眠れなくても責任取れません

オカルト
雪山の女の人

 あなたは怖い話は好きですか?

 老若男女、一度は聞いたり話したりなど、怪談に触れる機会はあるのではないでしょうか。

 そんな中でも「未来の怖い話」は舞台としてはメジャーと言えるでしょう。

 今回紹介する未来シリーズは「コールドスリープ」です。

 夜中に読むのはおすすめしません。何故なら、眠れなくなっても責任は取れませんから•••

 それでは、ごゆっくりお楽しみください。

 他の怪談も気になるという方は、下記の記事を参照ください。

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【未来シリーズ】「コールドスリープ」

雪山

 コールドスリープを知ってるかい?

 よくSF物の映画を見る人なら知ってるんじゃないか?

 宇宙船の中で一時的に機械に入り時が過ぎるのを待っていたり、不治の病の人が未来に希望を託して冬眠状態に入る•••

 これは映画や物語の中の話だが、まあ概ねそんなイメージで間違いない。

 実はこのコールドスリープ、映画と同じで、元々は宇宙船での惑星間移動の時にかかる莫大な時間への対処法として立案されたらしい。

 考えても見てほしい。かの有名なアポロ11号は偉大にも月への第一歩を踏み出してくれた。月までの距離は約38万km、かかった時間は約102時間だそうだ。

 栄光を掴むまでには多大な準備期間があったとしても実際の飛行日数からして4日ちょい•••船員は高揚感を保ちつつ宇宙旅行を楽しめただろう。

 ならば、火星へはどうだろう。地球に近い環境なので移民地として取り上げられることが多いが、実際移民するには宇宙船に乗り込み大量の人員、物資を郵送する必要がある。

 果たして現実なのだろうか。

 火星までの距離は約2億3000万km

 この時点で単位が変わっている。

 現在の技術で約250日で到着するらしい。

 250日だ。アポロ11号に登場した英雄も流石にうんざりするのではないだろうか。

 ましてや移民するのは一般人がほとんどだろう。

 これは現実的な数字とは言え難い。

 では、太陽系の端っこ、海王星はどうだろう。

 近年、太陽系の端っこ代表だった天王星が卒業したことで次は自分ではないだろうかと表面温度を-200度まで下げているらしい彼まではどれくらいの日数があれば傍に寄り添ってあげることができるだろうか。

 海王星までの距離は約45億km

 NASAが打ち上げたボイジャー2号が海王星までかかった日数は•••約4388日

 ふむ。約12年だ。

 もちろん技術が進歩すればかかる日数も変わってくるだろうが、大幅に縮めることができる日はそう近くはないだろう。

 人間の寿命は短い。ましてや健康寿命となれば尚更。

 また、それだけ長い日数を通常通り生活すれば必要な物資の量も多くなる。

 必然的に目的地までの寿命や消費を抑える必要が出てくる。そこでコールドスリープの立案ってわけだ。

 都合よくワープ装置なんて作れやしない。

 そしてそれを医療用に活かそうとして考案されていた物が等々実用化に至ったらしい。

 何でもコンセプトが「未来への架け橋」だそうだ。

 今の技術では到底治療不可能な病気であったとしても、未来で治療法が確立されることもある。

 病状を悪化させることなく維持したまま、未来での治療に望みを架けることからコンセプトの「未来への架け橋」へと繋がっているらしい。

 何とも重みの無い、エセ臭漂うコンセプトだが病気に苦しんでいる人からしたら希望に満ちた提案と言えるだろう。

 かく言う俺も、橋を渡りたいと思っている1人には違いないのだから。


 医療だけでなく各分野での技術の進歩は凄まじく、世界的にも高度成長期と言える時期が続いていた。

 そのため人々の平均寿命も右肩上がりとなっており、ニュースで見かける政治家も、中年というよりは高年が目立っている。

 「もっと若者にスポットライトを」とスローガンに掲げている政党もいるが、それを声高に叫んでいるのが高年の政治家であり、当の若者はあまり政治や出世に興味が無いあたり失笑しか生まれない。

 中高年が中高年のための政治を行う。

 平均寿命だけでなく健康寿命が伸びることで働ける年齢も引き上げられたことにより、若者にスポットが向く機会が減ったとも言える。

 こんな弊害は誰も予想していなかっただろう。

 また、それにより爆発的な人口増加へと繋がっている。

 いや、人口沈殿の方がイメージ的にはしっくりくるか。

 いらない物が底に溜まり陣取るイメージだ。

 新しいものが注がれても、下の方に溜まる量は減ることがなく、むしろかき混ぜないと溜まる一方。

 せめてマドラーを添えてもいいのかもしれない。

 まあ、その政党を立ち上げたのは俺なのだが。

 世論が求める姿を演じるのもそれまた政治家だ。

 反対論や相手を言いくるめる論争をするだけじゃ支持率は得られない。

 大事なことは、正しいと思っていることを行うのではなく正しいと思われていることを行うことだ。

 正義は相対的なんだ。

 だが、そんな相対的な正義も、唱える立場の人間が違えば、絶対的へと変わることもある。

 国が政策を打ち出した。

 「コールドスリープ〜未来への架け橋〜」

 細かい規約はあるが、要約するとこのような感じだ。

 ”現状の医療では治療が困難な者に対して、病状を悪化させることなく人体を冷蔵し余命を長らえさせる。未来での治療法が確立された場合に解凍し、治療を施すことで健康の維持につなげる”

 ”終末期(複数の医師が客観的な情報を基に、治療による病気の回復が期待できないと判断)、及び現在の技術では治療困難と医師より判断された者は費用を国が負担する”

 つまり、食品を放置しているとすぐ腐るが、冷蔵庫に入れて保管期限を伸ばして最後まで美味しく食べれるようにしますよ、と言うことだ。

 この政策が思いの外荒れた。

 この文面を見ると、「受けるのは自由」という風に読み解ける。実際はそうなのだが。

 世論は違った。「生きることができる命は生きるべき」という意見と「当人が受けたくなければ受けなくていい」という意見だ。

 「受けるべき」か「受けないべき」で揉めている。また、臨床試験でエビデンスも少ないことも荒れる要因だろう。

 しかし、この対立意見も実装して数日で一方に偏ることになる。それは、国が「生きることができる命は生きるべき」と方針を固めているからだ。

 某ワクチン接種を考えて欲しい。今回の件同様に「受けるべき」と「受けないべき」で割れてはいなかっただろうか。

 そして、ワクチンによる副作用、臨床によるエビデンスの少なさ同様の状況だが、国民のほとんどがワクチン接種を行う形になったのがいい例だ。

 国の打ち出し方で正義は相対的ではなく絶対的に変わると言うことだ。

 とはいえ、人の寿命を伸ばすことができる政策だ。本人の意思が介在しにくいという状況はさておき、選択肢としては希望に感じる人も多いだろう。

 かく言う俺もその1人だ。

 特に大きい病気はないが、現代に家族や友人などの大事な物があるわけでもない。あるのは政治家という地位だけ。

 政界を代表してコールドスリープを受けることで、未来での地位を確立するのが狙いだ。

 想像してみて欲しい。コールドスリープから生還した政治家を。メディアには引っ張りだこだろう。終末期でなくても、なんとかなる。ここは腕の見せ所だ。

 現代ではなく、未来に目を向けている、俺にぴったりの政策と言える。

 だがこの政策、どうやら受ける人数は世界的にも1000万人近くになるらしい。

 噂では増えた人口を減らすための口減らし政策、なんて言われてはいるが、それだけの施設の運用や維持コストを考えると噂の範疇を超えないなと思えるのは自分が政治家だからだろうか。

 それなら、将来的に実用するための試験運用、と言われた方がしっくりくる。

 ま、自分の命を試験運用で利用されるのは気が気じゃないが。

 俺はすぐにコールドスリープを受けれるよう根回しを行う。政治家というのはこう言う時には大いに役に立つ。

 1000万人が利用すると言うことは、それだけ待ち時間も発生するだろう。待っている時間に寿命が来ては死んでも死にきれない。

 根回しを行ってからお呼びがかかるまでにそう時間はいらなかった。

 指示された場所まで出向き、医者から説明を受ける。

 説明の内容は、規約のおさらいや、冷蔵時は麻酔をするため痛くはないと言うものだった。

 正直意識がある状態で冷蔵されるのは怖かったので少し安心した。

 冷蔵期間も

 俺は渡された寝具に着替え、台に横になり麻酔の点滴を打たれる。

 そこは、透明なガラス張りの筒状のカプセルだった。

 点滴終了後、車の窓ガラスがボタン1つで自動で閉まるように、目の前を透明なガラスの扉がゆっくりと視界を遮っていく。

 ガラス越しに説明をしてくれた医者が声を掛ける。

 ガラスが徐々に曇っていくのが気になりつつも頭がぼーっとしている。

 医者が放った言葉が頭の中に染み込むように入ってくる。

 「おやすみなさい」


 うっすらと声が聞こえる。

 身体は重く、というか動かそうという気力がわかない。動かし方が•••わからない。

 目を開ける、口を開く、声を出す

 そんな当たり前の動作を行う気にならない。いや、選択肢にも無いのかもしれない。

 ひどく頭が重い。脳みそが粘土に変わってしまったのだろうか。

 意識がはっきりしない。

 あぁ、コールドスリープをしたんだった

 そう認識できたのはしばらく経ってからだった。

 機械の故障か、睡眠時のレム、ノンレムのように意図せずして半覚醒してしまったらしい。

 だが、カプセル内の温度調整が入ったためか、少しずつ意識が遠のいてくる。

 眠るに着く前の没入感と共に、聞きたくもない会話が意識とともに沈んでいくことになる。

 「何億といるんだ。解凍するのもいろんな手順がいるらしい。治験で患者を解凍することはあるだろう。けど、誰が好き好んで偉い政治家なんか選ぶかよ」

まとめ

雪山と林

コールドスリープは長年に渡り行うため、運用費がかさむ
治療困難な人へは光明となるが、本人は冷蔵されているためいつ解凍されるかの不安がつきまとう
現在での確約は未来での確約とはなり得ない

 以上で、【未来シリーズ】「コールドスリープ」を紹介※眠れなくても責任取れませんを終わります。

 他にも、【未来シリーズ】「厳選4選!!」を紹介※眠れなくても責任取れません記事もあるので、興味がある方は是非ご一読ください。

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