あなたは怖い話は好きですか?
老若男女、一度は見たり聞いたりなど、怖い話に触れる機会はあるのではないでしょうか。
そんな中でも「配信者の怖い話」は舞台としてメジャーと言えるでしょう。
今回紹介する配信者の怖い話は「治安」です。
夜中に読むのはおすすめしません。
何故なら、眠れなくなっても責任は取れませんから•••
それでは、ごゆっくりお楽しみください。
他の怖い話も気になるという方は、下記の記事を参照ください。
【怖い話】配信者の怖い話「治安」

最初はただの憧れだった。
画面の向こうの人達は、誰もが楽しそうに話をしている。
話の内容は、日常の中の小さな幸福だったり、煌びやかな眩い世界だったり•••
人によって違いがあるけれど、リスナーと一緒に和気藹々と話しているその姿に憧れを抱いた。
私も同じように話せたら•••一歩踏み出したら•••
いろんな人と繋がれるのかな•••
リアルで感じるこの孤独も、少しは減るのかな•••
たったそれだけだった。
それだけが望みだった。
そして、望みは叶う。
思っていたのとは違う形で。
叶ったのに、望んでいたのに、後悔した。
だって、あの時はまだ想像もしていなかったから。
この世界は、繋がりたい人とだけ繋がることはできないのだと。
繋がりたくない人とは容易に繋がってしまうのに。
思い立ってから、始めるまではそんなに時間は要らなかった。
だって、少しの勇気と、スマフォ一台あれば良かったから。
始めた頃は、何を話すかも悩んでいた。
せっかく来てもらったリスナーさんに、どうやったら楽しんでもらえるか•••
そんな事ばかり考えていた。
決まって、配信の前にはメモと睨めっこをする。
話す内容を事前に決めておかないと、テンパってうまく話せなかったら申し訳ないから。
そうやって続けていると、少しずつリスナーさんも増えていった。
緊張して、棒読みのようにメモを読み上げていた事もあったけど、今では問題なく会話を繋ぐことができるようになった。
家族と話している時みたいに分け隔て無く。もしかしたら、友達が居たらこういう感じなのかな。
1から10まで自分で話の流れを作って、リスナーさんに話していたけど、いつからか、リスナーさんと一緒に話題を作って話すようになっていた。
これが本当に私がやりたかった事なのかもしれない。
新規のリスナーさんも、日に日に増えていく。
目的として掲げていたわけではないけど、収益化もできるようになた。
思っている以上の金額が口座に振り込まれているのに驚いていた時、大きい事務所の人から連絡をもらう。
お母さんに相談。
お家は賃貸という事もあって、おうやさんからは配信の許可はもらえなかった。
今まで黙って配信していた事は許してもらえたけど、これからはそうはいかない。
だから、家の近くで一人暮らしをする事になった。
もちろん、入居の時には配信の許可ももらう形で。
お母さんからも離れて、慣れない一人暮らしで寂しい気持ちでいっぱいだった。
でも、配信をつければ、リスナーさんがいつも励ましてくれる。
この温かい繋がりに何度も助けられた。
どんなに辛くても、苦しくても、悲しくても、リスナーさんとの繋がりがあれば乗り越えられる。
だけど、そうじゃなかった。
引っ越した、と言ってもお家の近くのお部屋。
歩いて数分の距離のマンションなんだけど•••
そんなに距離はないのに、何故か治安が悪い気がする。
この間配信していた時だ。
リスナーさんと談笑している時にそれは起こった。
パーパッパ、パパーーーーー
とバイクを•••ふかす?音が聞こえた。
それも爆音で。
画面越しのリスナーさんにも届くくらいに。
今時暴走族•••?
なんて話題にも挙がってしまう。
前のお家ではこんな事無かったのに•••
それも、数日に渡って繰り返されていた。
そして、バイクの音が聞こえなくなったと思ったら、もっと怖いことが起こってしまった。
マンションの前で大きな破裂音がした。
パンッパパパパパンッパンパパパパパン
何事かと思って窓から顔を出す。
少し煙いみたいな物が見えるけど、何かはわからなかった。
怖くなって画面の前に戻る。
爆竹じゃないか?
とリスナーさんが推測できるくらいの大きな音だった。
煙以外は特に変わった様子も無くて、人影すら見えなかった。
若い頃は良く遊んだ、なんてやんちゃなリスナーさんが笑い話にしてくれたから、少し気分も紛れたけど•••
続かなきゃいいな•••
だけど、そんな願いも虚しく散っていった。
また配信中に起こる。
毎回、そんな早い時間に配信をつけてはないんだけど•••
いや、だからこそ怖かった。
ピンポーン
インターホンが鳴った。
一瞬何が起こったのかわからなかった。
顔が引き攣っていたのが画面にも映ったんだと思う。
コメント欄には心配声で溢れていた。
出ない方がいい、とアドバイスをくれるリスナーさんがほとんどだったけど、
もしかしたら何か緊急の用事があって、誰かがインターホンを押したのかもしれないと思った。
扉を開けるのは、相手が誰か確認してからにしよう。
そう考えて、ドアの覗き穴に目を近づける•••
そこには、誰もいなかった。
いたずらかな?気のせいかな?いや、リスナーさんも聞いてるし•••
考えても答えは出なかったけど、夜に知らない人と応対せずに済んだことには少しホッとする。
大丈夫?って心配してくたり、警察に相談した方が、なんてアドバイスもくれるリスナーさんが、私の心の支えだった。
そんなリスナーさんに、笑顔で「大丈夫だよ。心配してくれてありがとう」と返す。
大丈夫なわけ無かった。
次の日だった。
配信をつけていつも通り喋っていた時、それはぬるりとやってくる。
うしろ
コメント欄にその一言だけ流れてきた。
私はそれを拾う。
音を発し、言葉にし、口から出してしまう。
声には出したが、単語を単調に読み上げただけで、脳内での漢字としての予測変換はできてないかった。
つまり、意味を、現状を理解できていなかった。
うし•••ろ?
それを皮切りに、コメント欄は荒波を立てる。
後ろ
後ろ
後ろ見て
後ろ
警察呼んで
お願い後ろ見て
後ろ
後ろ見て
逃げて
私は、私が置かれている現状を理解した。
震えが止まらない。
身体にうまく力が入らない。
変な汗がそこら中から吹き出してくる。
私は•••振り向いた。
コメント欄を見たときに、大方予想していた。
そしてこれから起こることを嫌がおうでも予期してしまう。
そして•••予定通りの絵面をリスナーさんに届けることになる。
それはとても凄惨で、杜撰とも言えて、それでいて無惨でもあった。
幸い、大事に至らなかったのは、男の人が凶器を持っていなかったという事と、配信を見ていたお母さんがすぐ異変に気づいて警察に連絡してくれたからだった。
私の顔が某人気の子供向けパンヒーローアニメの主人公のように腫れ上がってきたタイミングで、警察の人は扉を叩いてくれた。
それからは男の人も観念したのか、大人しくなった。
寧ろ自分から扉の鍵を開けて警察の人を中に入れたあたり、何を考えているのかはわからない。
リスナーさんには悪いけど、男の人が私から離れた時に、挨拶も無しに配信をきってしまった。
今度、しっかりと謝らないとな•••
後日、警察の人から事の顛末を聞くことになる。
予兆はあったんだ。
男の人は私のリスナーさんの一人だった。
私が普段、何気無しに話す内容からある程度の住所を特定したらしい。
だけど、詳しい番地がわからなかったから、ある行動を実行に移した。
それは、配信を確認しながら、バイクに乗って大音量を撒き散らすことだ。
その音を聞いた私の反応を見て住所を割り出そうとした。
連日、バイクを乗り回していたのは、配信のラグもあり、一度じゃ把握しきれなかったからだそうだ。
次に、あらかた場所を特定したが、マンションだったので部屋番号がわからないことに苦慮していたけど、あることを思いついたらしい。
それは、爆竹だった。
マンションから見える位置で爆竹を鳴らす。
それが気になり、マンションから顔を出したところを物陰から覗き、特定するという手法だった。
私はまんまと引っかかってしまっていた。
だけど、私以外にも何人かが窓から顔を出したから、男の人も困ってしまったらしい。
ただ、ほんの数人だけだった。
ここまできたら私の家までは簡単に辿り着いた。
一部屋一部屋インターホンを鳴らし渡って。
配信中にインターホンが鳴り響けば、そこが私の部屋なんだから。
そうして私の部屋を特定した男の人は、次の行動に出た。
日中私が買い物に出ている間に、忍び込んで押し入れの中に潜んでいたそうだ。
その押し入れは、ちょうどカメラの画角に収まっていた。
そこまで話を聞くと、「うしろ」と教えてくれたリスナーさんは、押し入れから出てくる男の人を視認したから教えてくれたのだろうと考えたが、違うらしい。
「うしろ」と書き込んだのは、男の人だったらしい。
書き込んでから押し入れを開けたから、他のリスナーさん達が慌て出したのが一歩遅れたみたいだ。
ますます心理がわからなかった。
だけど•••もしかしたら•••
男の人は、私と繋がりたかっただけなのかもしれない。
画面の前で楽しそうにリスナーさんと話す私を見て、自分も繋がっていると思いたかったかもしれない。
誰かと一緒に居たい、誰かと触れ合いたい、誰かと繋がりたい•••
そうだとしたら、気持ちはすごくわかる。
一歩間違えたら、私もそうなっていたのかも•••
そう考えると、今でも背筋が凍る想いになる。
まとめ

配信者は、住所を特定されるリスクがつきまとうため注意が必要
場合によっては、事務所の中や、事務所が管理する物件で配信する場合もある
事務所側も、配信者の安全の確保には十分努めてほしい
以上で、【怖い話】配信者の怖い話「治安」を紹介※眠れなくても責任取れませんを終わります。
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