【怖い話】夢の怖い話「10年越しの想い」を紹介※眠れなくても責任取れません

こけし

 あなたは怖い話は好きですか?

 老若男女、一度は見たり聞いたりなど、怖い話に触れる機会はあるのではないでしょうか。

 そんな中でも「夢の怖い話」は舞台としてはメジャーと言えるでしょう。

 今回紹介する夢の怖い話は「10年越しの想い」です。

 夜中に読むのはおすすめしません。

 何故なら、眠れなくなっても責任は取れませんから•••

 それでは、ごゆっくりお楽しみください。

 他の怖い話も気なるという方は、下記の記事を参照ください。

https://pamyu-pamyu.com/zituwa8/
目次

夢の怖い話「10年越しの想い」

立ち並ぶ鳥居

 忘れていた。

 何故か忘れていたんだ。

 あれほど一緒に遊んだのに。

 あれほど一緒に過ごしたのに。

 あれほど一緒に•••話した•••のか•••?

 頭の片隅にも残っていなかった。

 あのまま思い出すことがないままだったかもしれない。

 鮮紅色に彩られた、華やかで、どこか心癒される出会いを。

 それでも、思い出すことができた。

 鮮明に、鮮烈に、ついさっき経験したかのように脳裏に焼き付いている。

 何で忘れてしまったのか、それは説明のしようが無いが、思い出せたことについては理解できる。

 それは•••

 きっと彼女が僕のことを覚えてくれていたからだ。


 大学生活2年目の二十歳の夏の頃だ。

 特に何がきっかけになったとかはない。

 思い出したのはバイト中だった。

 居酒屋で注文を受けていた時だ。

 「とりあえず生」という決まり文句を聞いてから、スピードメニューを受けていた。そんな時にふと思い出した。

 ふと、というと軽いイメージではあるけど、実際は膨大な量の情報が頭を駆け回っていた。

 あまりの量に生ビール以降の注文は全く頭に入っていなかった程だ。

 案の定お客さんには嫌な顔をされたわけだけど。

 バイト中はそのことで頭がいっぱいだった。

 その後も何とかバイトを終わらせて帰宅する。

 帰り道で情報を整理、反芻する。

 鮮烈な紅色に彩られた、淡くも確かな夢の内容を。

 当時は、この夢を毎日のように見ていた。

 夢の舞台は、決まって学校の帰り道。

 正確には、帰り道じゃなくて、山へと入る山道の先が舞台になっていた。

 その山道は、古びた鳥居が連なっていて、どことなく風流な趣をしている。

 でも、そのころはまだ10歳くらいだったこともあり、その情景に心が動かされることはなかった。

 鳥居自体古すぎて根本が変色していたり、ささくれだっていたこともあって、神性的な雰囲気は感じにくかったということもある。

 現実では、正直陽が当たっていても、木々によって暗くジメジメして見えていたから、怖がって一度も足を運んだことはなかった。

 だけど、夢の中では不思議とそのフィルターは働かず、寧ろワクワクしながら登っていた。

 鳥居が古いということは、山道自体もかなり古く、舗装されているなんてことはもちろんなかった。

 転がっている石ころや、盛り上がっている木の根っこ、平とは口が裂けても言えない凸凹の地面•••

 ザ・登山道と言ったところか。

 いや、登山で使用される道は、舗装はされていなくても、ある程度人が通っているため均されているはず。

 それを考えると、登山道よりも過酷と言えた。

 でも、10歳のポテンシャルだ。

 体力は無限と言える。

 夢の中に体力という概念があるかどうかは不明だけど。

 鳥居は山の中腹まで続いている。途中、石のブロックを何個か重ねた程度の階段があったりはしたけど、基本はきつい傾斜の凸凹道を登ることになった。

 しばらく歩くと、深緑の景色には似ても似つかない紅色が目に入ることになる。

 彼女との初めての出会いだった。

 彼女は、木の幹に手を添え、あたかも僕が登ってくるのを知っていたかのようにこちらを向いて待ってくれている。

 その姿は、全身鮮やかな紅色の着物に包まれており、色彩から活発で強烈な印象を受ける。

 反対に、頭髪は澄んだ黒色に染まっており、金の髪飾りが目を引くその姿に清楚で純白な印象も受けた。

 その両極端な印象は、決して反発することなく、相対的に一つの完成形として成り立っていた。

 そして、強烈な印象とは裏腹に、どこか風が吹き抜けるような透明感、あるいは朧気な雰囲気を感じていた。

 ここまで•••言葉を見繕って説明をしてきたけど、正直、伝えたいことは一点だけだ。

 物凄く可愛かった。

 格好は市松人形のそれだとしても、とにかく可愛かった。

 表情は柔らかいとは言えないまでも、顔立ちは整っており、市松人形の倍は目が大きかった。

 時折見せる少し崩れた表情は相当の破壊力を秘めている。

 •••一目惚れだったかもしれない。

 最初になんて話しかけたかは覚えていないけど、夢の中で彼女と会うことを楽しみにしていたのは覚えている。

 かけっこやかくれんぼ、石段の上にどんぐりを並べてみたり•••遊んだ記憶はたくさんある。

 けど、何故か彼女の声は思い出せない。

 何を話したのかも。

 そして、最後は決まって彼女が待っていた木の幹の前、一緒に座っている場面で目が覚める。

 そんな夢を毎日のように見る。

 一回一回、初めましてじゃなくて、お互いに認識して会っていたあたり、あまり夢の中っていう感覚はなかった。

 現実でも山道を見かける度に、彼女がこの先に居るんだと何故か確信していた。

 そんな彼女との逢瀬が無くなったのは、その年に両親の都合で他府県に引っ越してからだった。

 キッパリと同じ夢は見なくなっていた。

 何なら、転校先の学校でうまくやっていけるか、っていう悩みの方が強く、彼女のことは早々に忘れてしまっていた。

 生ビールの注文を受け付けるまでは。

 彼女のことを思い出すと、急に胸のあたりがつっかえるような違和感を感じた。

 忘れていた割には都合が良すぎるか。

 それでも思い出したんだ。

 そして•••彼女のことばかり考えている。

 わかっている。

 夢でしか会ったことがない相手だってことは。

 それでも、自然と足は山道へと向かっていた。

 幸い、他府県と行っても隣なので、現地に向かうことにそこまで抵抗はない。

 ちょっと遠くまで散歩するような感覚だ。

 僕は目的の場所に向かいながら、懐かしい街並みを見送る。

 10年前は暗くて怖かった山道も、「虫が出そうだな•••」くらいの取るに足らない感想しか出てこなかった。

 子どもの頃は何ともなかった山道は、大人になった今牙を剥いてくる。

 斜面は体力を奪い、石ころは転ばそうと足先を攻めてくる、盛り上がった木の根は必要以上に身体に負担を強いる•••

 僕は早々に息が上がっていた。

 慣れない運動に、身体中から汗が噴き出る。

 あれほど思い出深い石段も、一歩で登り抜けることができた。

 膝が笑っている。下山を考えると頭がおかしくなりそうだ。

 そうこうしていると、彼女がいつも寄り添っていた大きな木が見えてきた。

 僕は木の幹に触れる。

 「ただいま」

 なんてセンチメンタルに浸りながら言ってみる。

 もちろん「おかえり」なんて帰ってくるはずはなかった。

 声も覚えてはいないし。

 それでも、彼女の慎ましくも可愛い笑顔が目に浮かんだ。

 それと同時に、目から大粒の涙が溢れてくる。

 何故ここまで夢に固執しているか自分でもわからない。

 何故ここまで会ったこともない相手に感情移入できるのかもわからない。

 何故ここまで悲しくて、虚しい気持ちが込み上げてくるかもわからなかった。

 僕は幹に縋りつくような形でうずくまる。

 彼女が座っていた姿を思い出しながら•••

 どれだけ泣いただろうか。

 涙は枯れることがなかったが、水道の蛇口を少しずつ閉めるように、徐々に落ち着いてくる。

 視界がぼやけなくなった頃、根っこ付近に鈍く光る物を見つけた。

 手に取ってみる。

 それは、簪だった。

 色は褪せてはいたけど、元は金色だったのだとわかる程度には原型を保っていた。

 彼女の物だと直感でわかった。

 夢と現実が交差する。

 もしかして•••

 僕は一心不乱に根っこ付近を掘った。

 スコップや掘削機なんてない。

 手で掘った。

 指先の皮膚が捲れようと関係ない。

 爪が剥がれかけようが関係ない。

 手の感覚なんて掘り始めてすぐに無くなっていた。

 そして•••僕は彼女に出会うことができた。

 僕が想像していた姿ではなかったし、彼女の笑顔を見ることはできなかった。

 けど、やっと会うことができた、見つけてあげられたことに少しホッとする。

 僕は、土に塗れた白く細身の彼女の顔を抱き抱える。

 •••誰かが蛇口を捻ったらしい。

 目から大粒の涙が溢れた。


 警察からの話によれば、10年前の誘拐事件の被害者が彼女だったらしい。

 ちょうど七五三の日に誘拐された可能性が高いと話をされた。

 今まで見つけられなかったのは、人気がない山道だということと、長い年月をかけて野生動物が掘り返していたんじゃないか、っていう何ともはっきりしない理由だった。

 それでも、僕は合点がいった。

 このタイミングで彼女を思い出したのは、今なら会えると彼女が教えてくれたんだろう•••と。

 そして、僕が思っていたより彼女は若かった。

 当時は同い年くらいかと思っていたんだけど•••

 僕が夢の話をすると、警察の人は少し怪訝そうな顔をする。

 それはそうか。調書にどう書けばいいか悩むことは想像にかたくない。

 だけど、全く理解をしない、というわけではなさそうだった。

 実際それで彼女と会えたわけだし。

 「悔しかったんだろう」とか「犯人を見つけて欲しかったから•••」とか警察の人は彼女の気持ちを代弁していたけど、どれも違うと思えた。

 きっと彼女は、もっと遊びたかったんだと思う。

 だって、夢の中の彼女は、とても可愛く笑っていたんだから•••

まとめ

連なる鳥居

夢は科学的にメカニズムが解かれているが、未だ未解明な説ききれない事例も多い
子どもの頃に見た夢は、記憶として残りやすい
夢の内容を、何故か時間差で思い出すことは珍しくない

 以上で、【怖い話】夢の怖い話「10年越しの想い」を紹介※眠れなくても責任取れませんを終わります。

 他にも、【怖い話】夢の怖い話「厳選5選!!」を紹介※眠れなくても責任取れませんという記事もあるので、興味がある方は是非ご一読ください。

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